グレーのもふもふの毛に覆われたエンペラーペンギンの赤ちゃんが、体重計の上に乗せられて…。そんな可愛い赤ちゃんと飼育員さんのやりとりがツイッターに投稿されると、38.5万の“いいね”がつき、動画は1336万回も再生されるほど注目が集まりました。
動画をツイートしたのは和歌山県のテーマパーク「アドベンチャーワールド 公式(@aws_official)」です。体重計に乗るのは、2021年10月1日に生まれた97日齢の赤ちゃん。飼育員さんが体重計に赤ちゃんを乗せると、赤ちゃんは降りようとします。そこで、しばらく飼育員さんが赤ちゃんのもふもふの胸に手を置いて静止。手が離れると、赤ちゃんは下を向いて諦めたように見せかけて〜〜バタバタと脱出!慌てて飼育員さんが連れ戻す攻防戦を繰り広げます。最後はヒュルルと可愛い鳴き声を出しながら、体重計の上でじっとすることができて、無事に測定が完了しました。
「かわいいぃぃぃ やっぱりペンギンは最高だぁ」
「ジッとしてないペンちゃんと飼育員さんの攻防戦を見てると微笑ましいのと、なんだかうちの娘みたいだなっと思いました笑」
「飼育員さんの指が埋もれるくらいふわっふわの毛だ」
「あのひなちゃんがもう飼育員さんを困らせてしまう位成長したことに笑いと嬉しさ倍になりました ペンギン鳴き声が本当にたまらない」
「すきあらば降りてやるって感じ(笑)ですね〜 もう可愛くて面白くて笑っちゃいました 漏れ聞こえてくる声でひなちゃんの気持ちが伝わってきましたー はぁ今年もかわいいなぁ」
リプ欄は、ペンギンの赤ちゃんと飼育員さんのやりとりにほっこりする皆さんの声で溢れています。
エンペラーペンギンの繁殖の方法を聞きました
アドベンチャーワールドでは、赤ちゃんが無事に卵からかえり成長するように「初期人工育雛」という方法でエンペラーペンギンの繁殖に取り組んでいます。「初期人工育雛」は、卵を親から預かり孵化させて、体重500グラムになるまで人の手で育ててから親鳥に返す方法です。そうすることで、親鳥が卵をつぶしてしまうことを避けられるとのこと。
また、人が赤ちゃんを預かっている間は、親鳥の鳴き声を聞かせて飼育員がペンギンのマスクをつけて給餌します。一方、偽物の卵を抱く親鳥は、赤ちゃんが生まれていることを知りません。赤ちゃんが規定のサイズになると卵と赤ちゃんを交換します。すると、親鳥は卵が孵ったと思って自然に赤ちゃんを育てるようになり、赤ちゃんも自分がペンギンだと認識できるため、将来ペンギンとペアになることができるとのこと。
今回の動画の赤ちゃんは、10月23日に別のペアに赤ちゃんを預けることになりましたが、10月25日に親鳥のお腹の下から赤ちゃんがはみ出ることが多く、赤ちゃんを親鳥から預かり、人工育雛に戻し現在に至ります。それからすくすく成長して、1月27日の118日齢には17.2キログラムになっています。赤ちゃんの体重測定について、飼育担当者さんにお話を聞きました。
──ペンギンの赤ちゃんの体重測定は、いつも攻防戦になるのですか?
周囲に気になるものがあると興味を示すことがあります。今回は近くにいるカメラスタッフが気になったのかもしれません。
この体重計は、12月29日の89日齢より使用しています。小さな体重計で測ることが危なくなったり、難しくなった時に大きな体重計に変更しています。
──抱っこして測らないの?という声もありましたが、重いから無理なのかしら?
人に抱えられたり捕まえられることを嫌がるため、安全に測れるよう自分で体重計にのってもらい測っています。
──なるほど。ふわふわの毛の赤ちゃんが見られるのも、そろそろおしまいなのですね。
生後3カ月を過ぎたころから、ふわふわの羽が抜けはじめ、固く水をはじき泳ぐのに適した大人の羽へと徐々に生え変わります。こちらのヒナもフリッパー(翼)の先や胸のあたりが抜け始めています。
──ツイッターやYouTubeで赤ちゃんの様子をたくさん発信されています。
元気に成長しているエンペラーペンギンの赤ちゃんの様子を多くの方にご覧いただきたい、という想いのもと動画を撮影しています。すでに15㎏近い赤ちゃんですので、成長を見逃さないようご覧いただきたいです。
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エンペラーペンギンは、南極大陸およびその周辺に生息するペンギンで、成鳥は体長約120センチ、体重は約40キログラムにもなる18種類のペンギンの中で一番大きなペンギンです。1個の卵を産み足の上に乗せて、腹部の皮をかぶせて抱卵します。抱卵はオスのみがおこない、マイナス60度にもなる環境のなか、絶食状態で約2カ月間も抱き続けるそう。日本国内でエンペラーペンギンを飼育しているのは、アドベンチャーワールドと名古屋港水族館(愛知県名古屋市)のみ。まだまだ成長するペンギンの赤ちゃんを実物やSNSで見守りたいですね。
■アドベンチャーワールド https://www.aws-s.com
■アドベンチャーワールド(YouTube) https://www.youtube.com/channel/UCVEmpbL5VzfXsULPFeRsj4Q