里親募集サイトを見ていた、らいあんさん(@allian7)が「『綾野剛似』とだけ書かれたネコチャン見つけたんだけどまじで綾野剛似で笑ってしまうwww可愛いwww」とツイートしたところ、8万以上のいいねがつくほど話題となりました。
「擬人化ならぬ擬ニャン化なんでしょうね」「親戚でしょうね」「すごい雰囲気のある猫野剛さん…」「たしかに面影がありますね。シュッとしててイケメン猫〜!!」など共感の声が寄せられています。
らいあんさんは寂しがり屋の保護猫を1匹飼っており、もう1匹お迎えしたいと思っていた時に、この猫さんを発見したそう。
「基本的に里親募集では、タイトル『キジトラ元気な2才のA君』と詳細な情報が入れられてることが多いのですが、『綾野剛似』とだけ書かれた斬新さに思わず笑ってしまいました。実際の猫ちゃんの写真を見て、更に笑ってしまいました。(猫の)綾野剛くんにいいご縁があることをお祈りしております」と話してくれました。
「アヤノゴー」と命名された猫さんが、現在暮らしているのは鹿児島県の種子島です。保護主である吉岡裕美さんは、母親の介護のために種子島へ帰省した際に、島の犬猫の扱いが良くない現状を目にし、意を決して2019年秋に奈良から移住。費用捻出のため、働きながら1人で『種子島アニマルレスキュー』の保護活動・里親捜しをおこなっています。
――この猫さんが話題になっていますが…
仕事と世話で多忙のため昼は携帯を見る時間がなく、全く知らなかったですね。話題になっていると聞き「何で無名のアヤノゴーが?」と気になって調べてみたら「あ、本当だ」と驚いています。
――どのような状況で保護されましたか?
2019年の12月に、猫の多頭&外飼いが気になっていたお宅に訪問した時です。避妊手術の説得に行ったのですが、目と鼻がふさがっていて自力では生きていけない子猫が3匹いて「助けてあげなければ!」と連れて帰りました。その中の1匹がアヤノゴーでした。現在は1歳3カ月ほどかと。
――このお名前をつけたのはいつですか?
引き取った後は診察で何日か通院していました。治療が終わった頃に奈良から大学生の知人の娘さんがボランティアに来てくれたんです。その子が「綾野剛に似てる!綾野剛だ!」と言って、私も「あ、ちょっと似てる」と思ったのが名前の由来ですね。
――問い合わせなど反響は?
(ツイートの)12月26日まではありませんでしたが、その後は3件ありました。里親さんはまだ見つかっていませんが少し有名になったので、これから声がたくさんかかることを期待して、より良いお家を選んでいこうと思っています。
「ちあきなおみ」「阪急」などユニークな名前も
――現在保護されている犬猫さんの数は?
猫は60匹ほど、犬は4頭。他に飼い主が入院しエサをあげに行っている遠方のお家に6匹、飼い主が引っ越しして残されたので面倒をみている6匹も。今までの保護数は170を超えました。
――他にも誰かに似た子がいるのか気になります
歌手のちあきなおみさん似の猫「ちあきなおみ」がいます。なおみちゃんもふわふわでホクロがあり可愛いですよ。あと「アヤノゴー」の弟「ミニアヤ」や、名前は「マルモ」ですが、星野源さん似でみんなに「ホシゲン」と呼ばれている猫もいますね。
――「阪急」「阪神」など命名がユニークですよね
神戸からボランティアに来てくれた昔の職場の後輩が「関西の人の目にとまるように」と付けてくれて。「阪急」は残っていて、「阪神」は大阪・高槻へ、その後に引き取った兄弟猫「キンちゃん」「テッちゃん」(=近鉄)は神戸へもらわれていきました。
――犬猫さんの紹介で工夫されていることは?
最初は分かりやすい名前にしていました。個人でたくさん引き取ると、名前が分からなくなるのは問題だと思い、見た目で。例えば、シロ、キジキジ、クリーム、クロベーなど。
ボランティアさんや募金をしてくださった方にも命名をお願いするようになり、かなり喜ばれて私では思いつかないとても良い名前を考えてくださいます。里親の方は写真で選ばれるので、可愛く写すのが大変で…たまにオスと載せたけどメスだったことも。
将来きちんとした建物を作りたい
――昔から動物への思いが強かったのでしょうか?
幼い頃から公衆トイレに蛾がいたら捕まえて逃したりする子でした。牧場の牛に吸血ハエがたくさん止まってるのを見て可哀想になり、日曜はハエを追い払いに行ったり。小学校の担任の先生が卒業文集に『人が気づかない小さな命にまでも涙を流す子だった』と書いてくれたので、生き物バカだったんです。
――それはかなりの生き物好きですね! 移住前は動物に関わるお仕事をされていたのでしょうか?
大阪の動物保護施設で働いていました。常に引き取りの相談が多く、世話が手一杯で施設では断わる場合もあるのですが、私は行き場の無い犬猫がとても気になり、奈良の自宅で預かり個人的に里親探しを10年ほど続けていましたね。
――これまでの活動で苦労されていることは?
現在でも昭和初期のような飼い方、子猫が生まれて目が開かないうちに捨てるなどよくあります。里親希望で島の人も来てくださいますが、猫の外飼いや犬は家に入れずつなぎ飼いする予定の方も。また、80代の夫婦が子猫を求めて来たりされるのですが、猫の寿命のことを含めて理由を説明すると気を悪くされたりします。
飼えなくなった犬猫を引き取る時に、避妊去勢手術はしていないのは当たり前、ノミの駆虫費用の半分だけでもとお願いすると驚かれ、ご立腹される方もいるので、心が折れる事がたくさんあります。
――そんなに大変なのに続けられているとはすごいです。うれしかったことはありますか?
子犬の里親希望の方が来られた時に、希望の子犬はごはんタイムで待ってもらっている間、大人の保護犬の散歩をお願いしたんです。その間に「この子かわいいし、性格もいい」と家族で話し合い、引き取ってもらえた幸せエピソードもあります。大人の犬は選ばれにくいので、本当に良かったです!
――今後の目標について教えてください
基本は個人で世話、医療費・経費などは自費と少しの募金でまかなっています。病気や元気がなかったら必ず病院で診察し、後払いになる事もしょっちゅうなので、必死で働かないと崩壊します…。
種子島では、行き場の無い犬猫を保護してくれる場所がないので、行政の補助を働きかけたいですね。今は犬猫たちを引き取っても場所が狭いので、例えば建物の補助や無利子の貸し付けなどをお願いし、将来きちんとした建物を作りたいと思っています。
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今回の猫さんエピソードを機に「活動が広まったり、応援してくださる方が増えたら嬉しい」と話していた吉岡さん。犬猫さんたちは『種子島アニマルレスキュー』の公式サイト(多忙のため更新が追いついていない場合あり)、インスタグラム、里親募集のサイト『ペットのおうち』などで紹介されています。
また保護した猫のために、猫砂、ドライキャットフード、かつおぶし、いりこ、ペットシーツ(ダブルワイド)、ウンチ袋、洗濯用洗剤などは常に募集中とのことです。
『種子島アニマルレスキュー』
■公式サイト https://tanegashima-animal.com/
■Instagram https://www.instagram.com/tanegashima.animal.rescue/
■YouTube https://youtube.com/channel/UCUnCYIIdzOm4RNQdKAxeh9w