介護施設殺人で元職員の女逮捕に1年5か月を要した理由、看護師経験による犯行

小川 泰平 小川 泰平

 茨城県古河市の介護老人保健施設「けやきの舎」で昨年7月、入所者の吉田節次さん(当時76)の体内に空気を注入し殺害したとして、県警は今月8日、殺人の疑いで元施設職員の同県古河市、赤間恵美容疑者(35)を逮捕した。認否は明らかにしていない。この事件を受け、現場を取材した元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は11日、当サイトに対し、逮捕に踏み切るまでの経緯など、その背景について解説した。

 逮捕容疑は勤務中だった2020年7月6日、施設内で、ベッドにいた吉田さんの脚につながれた点滴用チューブに空のシリンジ(注射筒)を接続して空気を注入し、空気塞栓症による急性循環不全により死亡させた疑い。赤間容疑者は看護師の資格を持ち、「けやきの舎」では20年4月下旬から介護職員として勤務しており、吉田さんが死亡した日に自主退職した。

 赤間容疑者は事件後となる昨年11月に結婚していたという。同容疑者の夫の父(義父)によると、昨年8月、次男が交際相手として同容疑者を自宅に連れてきて初対面し、10月から同居することになった。次男と同容疑者は「いい夫婦の日」の11月22日に結婚し、当初は「良い嫁だと思っていた」という。だが、義父母の財布から現金がなくなるようになったことを発端として家族関係が悪化し、今夏から次男夫婦と別居していたという。

 小川氏は「結婚は11月ですが、結婚を決めるまで、交際している時に気づかなかったのかと思います」と疑問を呈した。また、赤間容疑者は11月に万引きの現行犯で逮捕されていたが、小川氏は「万引きについては起訴されていることを考えると、別件逮捕ではないと思います」と指摘した。

 逮捕に至る背景について、小川氏は「事件発生当日に突然退職していること、当日、不審な行動を目撃されているなど、容疑はあるが、殺人事件の犯人として逮捕するには決め手に欠けていたと思われます。この1年5か月間、慎重に捜査を続け、逮捕状の発付を受け逮捕に踏み切った」と解説。今後について「看護師資格の経験と知識により行われた犯行であり、動機の解明等、取り調べが進められていくでしょう」と見解を示した。

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