横浜市神奈川区の大口病院(横浜はじめ病院に改称)で2016年9月に入院患者2人が相次いで中毒死した事件で、うち1人の男性(当時88)を殺害したとして、当時、同病院に勤務していた元看護師・久保木愛弓容疑者(31)が7日、殺人容疑で神奈川県警に逮捕されたことを受け、デイリースポーツ取材班は同病院周辺で地元住民の声を聞いた。
病院はJR大口駅から徒歩約3分、マンションや居酒屋など飲食店が並ぶ、人通りのある街中に位置する。様子を見に来た近くに住む女性は「私の主人もここ(当時の大口病院)で亡くなりました。だから何も言いたくないです」と険しい表情。この事件との関連性は別にしても、病院に対する不信感を募らせている様子だった。
容疑者逮捕の一報が流れる前後の同日夕方、病院前には10数人の報道陣が詰めかけ、その場の様子で事件の急展開を知った住民も視線を病院に向けた。
若い母親は「犯人、捕まったんだって」と自転車の荷台に乗せた幼い子どもに語りかけ、通りかかった女性は「病院を信じていいか不安でしたが、(容疑者が)逮捕されたと聞いて安心しました」と感想を口にした。逮捕の一報が流れた時点で、同病院はデイリースポーツの取材に対し「院内にいるのは警備員だけです。本日は職員が不在で何もお応えできません」とした。
神奈川県警によると、久保木容疑者は「他の入院患者の点滴にも、消毒液を入れた」と供述しているという。別の当時88歳男性もその2日後に死亡しており、司法解剖の結果、消毒液「ヂアミトール」に含まれる界面活性剤の成分が検出され、点滴にも同じ成分が混入されていた。さらに、この時期に死亡した入院患者の中で、当時89歳の男性と当時78歳の女性の体内からも界面活性剤の成分が検出されたという。
捜査関係者によると、同容疑者は「20人ぐらいの点滴に混入した」と自供しているという。それが事実であり、他の不審死との関連性があれば、大量殺人という最悪の可能性が浮上してきた。