病室の子どもたち、笑顔になあれ 院内にガチャガチャを置くプロジェクト 賛同した180人の心意気が熱い

藤原 玉美 藤原 玉美

 病気と闘う子どもたちと、その家族を応援するNPO法人「プロジェクトサンタ」が12月5日にひらかたパーク(枚方市)とコラボし、チャリティイベント「しゃぼんフェスティバル」を開催した。病院にガチャガチャを設置する「ガチャガチャプロジェクト」を継続する活動の一環。来年への景気づけに今年は「第0回」と銘打った。参加者180人はサンタクロースに扮し、しゃぼん玉を飛ばしながら園内を練り歩いた。

 そもそもNPO法人「プロジェクトサンタ」は大阪城公園で行われている大阪グレートサンタランのチャリティチームから生まれた団体。「サンタランはクリスマスの時にプレゼントを届ける活動をしていましたが、病気で戦っている子どもはクリスマスの時だけではなく、1年中います。そこで年中応援できることはないかと別のプロジェクトを立ち上げて発足しました」と副理事長の加藤裕子さんは話す。

 そんなとき医師から提案があり、今回「ガチャガチャプロジェクト」として、形になったもの。子どもたちは治療時に泣いたり注射が嫌だと言ったりするが「ガチャガチャできるよ」と言うと、それを目標にして治療に挑んでくれるだけでなく、医師や看護師も治療がしやすくなると喜ばれ、現在関西の5つの病院に設置されている。

 しかし、1台カプセルトイを設置すると景品を継続して病院に送る必要があり、台数が増えるごとに費用もかさむ。今後、台数を増やしていくにはもっと活動を知ってもらう必要があると考え、今回のしゃぼんフェスティバルはあえて「第0回」と銘打ち、第1回を作り上げるサポーターという役目も担ってもらえたらという思いも込めてイベントを開いた。

 参加費には大人はサンタクロースの衣装、子どもはイベントに協賛した子ども服のブランド「ブランシェス」の靴下やタオル、しゃぼん玉セット、チャリティバルイベント「サンタバル」のチケット、プロジェクトサンタのピンバッジが含まれており、一部費用が活動資金へと充てられる。

 参加者は家族や友だちなどグループでの参加が多く、幅広い年齢層が集った。サンタランのファンで以前からイベントに参加しているという方も多く、大阪市在住で小学校4年生の男の子を持つ母親は「チャリティイベントについて子どもにただ口で言うだけではなく行動で表すことができる。楽しく参加して、病気の子どもたちへの助けに貢献できて手を差し伸べられたら」と話した。

 イベントではまずオリエンテーションを受け、集合写真を撮影した後、ボランティアで駆け付けたマーチングバンドを先頭に園内パレードでスタート。しゃぼん玉を飛ばしたり一般客に手を振ったりしながら行進した。

 午後からは、様々な場所でサンタクロースの集団が出没。来年の活動に向けてSNSや告知サイトなどで使用予定の動画撮影やプロカメラマンによるしゃぼん玉撮影が行われ、この日だけの思い出を思い思いに記録していた。

 また、園内の売店ではコラボチャリティドリンク「クリスマスラテアート」を販売。1杯700円のうち150円が寄付となるかわいくておいしいラテを購入すると先着60名はサンタクロースと記念撮影ができるとあって、一般客もドリンクを飲みサンタクロースとの触れ合いを楽しんでいた。

 さらに、ノームトレイン、ウェーブスインガー、レッドファルコンという3つの乗り物を団体でジャック。大阪市内から参加した小学1年生と小学6年生の兄妹のご家族は「サンタランには何回か参加しています。今回はまた全然違う内容で、久しぶりに家族で遊園地に来たのもあって楽しいです」と話してくれた。

 また、病気を抱える小学校6年生の女の子を持つご家族は「クリスマスは次女が入院をしていることが多く、いつもは思いをもらう側でした。でも、このイベントは障がいがあっても参加できるな、と思って兄妹と一緒に参加させてもらいました。これだけの数のサンタクロースが集まっていて、生演奏が響いているのを体感でき、一員になっていると感じられてとても楽しかったです」と笑顔で話した。

 共催した、ひらかたパークを運営する株式会社京阪レジャーサービスひらかたパーク事業部の田中逸馬さんは「今までチャリティへの取り組みは会社としてはあまりなく、ほぼ初めて。来年ひらかたパークは開園して110周年になることもあり、長く枚方の地でみなさんにご利用いただいていることを還元したいと考えていた時にお声がけいただき『自分も楽しんでチャリティをする』という趣旨に非常に共感を得まして、ぜひ一緒にやりましょうということになりました」と経緯を明かし、こう続けた。

 「園内全体を使って規模が大きくはなりましたが、一般客のみなさんにも十分楽しんでいただけたのではないでしょうか。我々もなかなか見る光景ではないので、すごく楽しんでやらせてもらいました」

 NPO法人プロジェクトサンタでは、今後に向けホームページで様々な方法による応援方法呼び掛けており、カプセルトイの景品を支援してくれる団体や会社なども募集中。また当イベント後には新たに枚方市の関西医科大学付属病院の小児科にガチャを設置することにしている。

 「これを土台に来年につなげたい」とNPO法人。舞い上がるしゃぼん玉のように、夢と愛にあふれた活動が今後も末長く続くことを願わざるを得なかった。

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