もしかしたら第6波は来ない…? 新型コロナウイルスで注目、変異しすぎたウイルスが自滅する「エラー・カタストロフ」理論とは

ドクター備忘録

松本 浩彦 松本 浩彦

 コロナの第6波は必ず来る、と言い続けてきた私ですが、日本での急速な第5波の終息について専門家が検証した諸説を見ていると、もしかすると第6波は来ないのではないか、という気がしています。

 日本での急激な第5波の終息は世界中のメディアでも注目され、「摩訶不思議な成功」とまで言われていますが、その原因については専門の学者でさえ首を捻っているのです。事実、9月中旬以降の新規感染者の減少は11月も続いており、今のところ第6波の兆候は見られません。

 もし第6波が訪れたとしても、過去のような爆発的な感染増加には至らないと言う先生方はまた、第5波の終息はワクチン接種の効果ではない、とも言っています。東京よりも接種率が高い山口や佐賀など、地方のほうが感染者数の減少率が大きいはずなのに、実際は違ったからです。

 さらに世界中の専門家の間では、コロナはこのまま消えてなくなるのではないか、という説が大勢を占めつつあります。コロナウイルスの消滅の根拠として、いま注目されているのが「エラー・カタストロフ」という理論です。ドイツのノーベル賞学者アイゲン博士が50年前に提唱したもので、簡単に言うと「ウイルスは変異しすぎると自滅する」ということです。

 ウイルスが増殖する際、複製のミスが起こると、変異株が生まれます。デルタ株のような強い複製能力を持つ変異株が生まれたのも元々はミスコピーの結果です。しかし増殖が速ければ、それだけ多くの複製ミスが起こり、その結果、ある限界を超えると、今度はそのウイルスの生存に必要な遺伝子までも壊してしまい、ウイルスが自壊する。これがエラー・カタストロフなのです。次回も続きます。

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