「飼育員のウニ愛に狂気を感じた」水族館の展示が話題「生きているより死んでいるウニが好き」

伊藤 大介 伊藤 大介

あわしまマリンパーク(静岡県沼津市)の「ウニの骨格展」が渋すぎるとSNSで話題になっています。イルカやアザラシ、ペンギンではなくウニ。 しかも死んで骨になったウニ、いわゆる標本が並んでいます。

展示には#イッヌ #ネッコ #ウッニとハッシュタグも鎮座しています。太楼(たろう)(@iretaro)さんがTwitterで展示を紹介すると、「圧倒的マニアックさ」「ウッニは草」「飼育員さんの熱意を感じる」と2.2万リツイートされ、8.6万いいねが付きました。取材してみると、展示を企画した職員はTwitterやSNSに全く利用していないのだとか。なぜハッシュタグを? なんでウッニなのか?

展示を企画した、あわしまマリンパーク飼育課魚類主任の小西香代子さん(35)に話を聞きました。

骨格の美しさに魅了。死んでいるウニが好き

ーーウニの骨格展を開いた理由を教えてください。

「私はウニが好きなんです。動物専門学校時代はドルフィントレーナー専攻だったんですけど、同じ専攻の学生に接していて、『私のイルカ好きってそれほどじゃないな』って気付いたんです。水族館に勤めて、30歳を過ぎたころ、ウニに魅了されるようになりました」

「ウニは死んでなお美しいんです。骨格に並ぶ穴の配列、赤、紫、緑と色彩豊かな骨の色。でもウニって生きていると、砂の中に潜り込んでしまうので、展示しがいがないんです(笑)。私は生きているウニより死んでいる方が好きです」

ーー今回の展示はいつ始まったんですか?

「今年の春からです。ウニにはカシパン類というのがあるので、『ウニのカシパン祭り』ということで(笑)。なので、半年以上たってTwitterで話題になって、『今なん!?』という感じです(笑)。なかなか反響もなく、展示を変えようかとも思っていたので、うれしいです」

ーー展示にはハッシュタグ#イッヌ #ネッコ #ウッニを付けていましたが、SNSでの拡散を狙っていたのでは?

「実は私はSNSってやっていないので分かってないんです。営業担当の若い子にどうやったら話題にしてもらえる?と尋ねたら『ハッシュタグが目に触れやすいですかね』『犬をイッヌ、猫をネッコとか言いますよ』と教わったので、じゃあウッニでいいのかなと。同僚に『今すごいことになってますよ』と言われて、何がすごいか分からないんですけど、バズる、というのになってるんですよね」

Twitterに展示を投稿した太楼さんにも話を聞きました。

ーー展示を見た感想は?

「わかりやすく、かつ興味を惹くように楽しく書かれた文章で『自分の好きなものを他の人も好きになってくれたらいいな』という想いを端々に感じました。他の展示でも、漁師さんとのやりとりや水族館の方のほのぼのとしたリアルを垣間見ることが出来て面白かったです」

ーーウニへの興味は湧きましたか?

「元々ビーチコーミング(海辺に打ち上げられた漂着物を集めたり、観察すること)が好きでウニの裸殻を拾っていたのですが、スカシカシパンもウニの一種という事が知れて更に興味が湧きました」

「実際に骨格が触れるコーナーもあり『こんなにウニ愛のある方の宝物だから大切に扱おう』という気持ちで触れさせて頂きました。密度のある紙粘土に近い不思議な感触でした。模様も可愛いです」

ーー売店ではウニ型キャンドル、骨などを販売しています。今後どのような展示、販売を期待していますか?

「このままウニ愛を突っ走って『推しへの愛』溢れる展示で来館者をびっくりさせ続けて欲しいと思います」

  ◇   ◇

展示を企画した小西さんは「なかなかウニの魅力が伝わらなくって」と話していましたが、ちゃんとウニ愛、伝わってますよ。これからも愛情深い展示に期待しています。

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