サッカーJ1湘南ベルマーレ所属のオリベイラ選手の突然の死に悲しんでいるファンは少なくありません。死因は「急性うっ血性心不全」だったといいます。まだ23歳という若さ。前途あるブラジル出身のサッカー選手を突然襲った病気について、お話しましょう。
「急性うっ血心不全」とはどんな病気なのか?
この11月23日に練習に姿を見せなかったことからスタッフが自宅を訪れ、ベッドで倒れていたオリベイラ選手を発見したと報道にありました。その後、死因は「急性うっ血心不全」と発表されています。
うっ血心不全は「心不全」の中のひつです。そして、うっ血性心不全には、今回の「急性うっ血性心不全」と「慢性うっ血性心不全」があります。
うっ血性心不全は、何らかの原因で心臓のポンプ機能が機能を果たさず急激に弱まり、充分な量の血液を全身に送り出せなくなり、血液のうっ血(滞留)が肺など臓器で起こる状態をさします。症状としては呼吸困難や倦怠感、むくみなどが生じやすくなり、悪化すれば命にもかかわります。
「慢性」の場合は体内にナトリウムと水分が過剰に蓄積されることで、むくみ(浮腫)が現われるといわれています。ところが、「急性」の場合は体内にナトリウムと水分が蓄積される前に、肺にうっ血が生じるなどして、急激にさまざまな症状に見舞われるのです。
高齢者に多いが、20代も安心できない病気
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、高血圧、弁膜症、心筋症、心筋炎、先天性心疾患、不整脈などが原因として考えられるので、疾患のある人は要注意です。注意したいのはやはり「急性心筋梗塞」です。急性心筋梗塞が起こると、急性うっ血性心不全を引き起こす可能性があるからです。
一般的には高齢者がなりやすく、超高齢化社会を迎えた日本では、高齢者のうっ血性心不全の患者さんが増えているといわれています。しかし、若いからといって油断は禁物です。オリベイラ選手のように20代でも発症する危険性があるからです。特に、若いうちは男性の方が発症しやすいといえるでしょう。それは、動脈硬化を抑制する女性ホルモンの分泌の働きがある女性は、40歳ごろまでは非常に患者数が少ないからです。
うっ血性心不全は冬場になりやすく、これから寒くなる季節はとくに要注意です。というのは、寒くなると血管を縮めて、血管内を流れる血液を減らすことにより熱が体外へ逃げないようにする働きが体にはあります。血管が急に縮むと、その結果、急激に血圧が上昇しやすくなり、心臓に負担がかかり、不整脈や心筋梗塞などにつながることがあります。
ちなみに、うっ血性心不全の検査には血液検査や胸部レントゲン検査、心電図、心エコー検査、心臓カテーテル検査などがあります。
予防するには日常の生活スタイルを見直したい?
予防するには、以下のことに注意してください。
①年に数回は血圧測定をすること。
②減塩を心掛けましょう。※塩分を摂りすぎると体内の血液量が増え、心臓に負担がかかります。
③肥満も心臓に負担がかかりやすくなるので、要注意です。
④ストレスをためないようにしましょう。
⑤睡眠は十分とりましょう。
⑥運動不足に注意しましょう。
⑦不規則な生活は改善しましょう。
⑧禁煙をしましょう。
⑨健康診断は定期に受診しましょう。
気になる人は、専門医に相談するといいかもしれません。