持病の呼吸器疾患を起因とするパニック発作の発症により舞台を降板することになった俳優の谷村美月さん。体に異常がないのに突然、予想だにもしない激しい動悸やめまいなどの症状に見舞われるのが「パニック発作」です。誰でもなる可能性がある病気なので、ご注意ください。
体に異常がなく起こる「パニック発作」
ある日突然、起こる動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震え…。
こういう発作が起これば、大半の人が心臓や胃、肺などの病気を疑うと思います。発作の状況によっては、救急車を呼ぶ人も少なくありません。ところが、検査しても異常が見つからない人がいます。そういう場合は、もしかして「パニック発作」かもしれないのです。
異常がないにもかかわらず、激しい発作に襲われ「このまま死んでしまうのでは」と追い詰められ、恐怖や生命の危機感まで感じる人もいます。パニック発作が怖いのは他の病気から起こっているわけでなく、検査で体の異常が何もなくても起こるところです。それだけに発作への不安が増します。
パニック発作はなぜ、起こるのか?
大きな地震や火災、自然災害などに直面すると、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震え…など同様の発作に見舞われることがあります。
厚生労働省の「メンタルヘルス」のサイトには「こうした反応はいずれも、敵や災害から逃げるために有利なもので、身体に備わった生き延びるためのプログラムです」と書かれています。つまり、パニック発作は死の危険から生き延びるために準備されている反応だというのです。
また、パニック発作は不安症の症状にもみられることがあるようです。たとえば、お化けが恐いと思っていると、暗闇で何かを見てお化けと勘違いし、強い恐怖感でパニック発作を起こす人がいるかもしれません。
予期しないパニック発作が繰り返し起こり、日常生活にまで支障が出てくる状態が「パニック障害」です。しかし、高所恐怖症の人が高いところに行くとパニック発作を起こすことがありますが、これは最初から起こる可能性があると考えられるので、パニック障害ではないのです。
パニック発作を起こさないことが一番
パニック障害と医師から診断されれば薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬、または併用など)や精神療法などを受けます。薬物療法などの目的は「パニック発作をおこさないこと」に尽きます。「また、発作が起きるのでは」と予期不安を感じている患者さんの不安を取り除くことが何より大切です。
パニック発作を経験した多くの人が「死ぬような思いをした」と語るケースが少なくありません。この発作は10分くらいから長くても1時間以内で治まり、ほとんどの人が20分~30分ほどです。長く感じられることでしょうが、命にかかわる病気ではありません。そこで「パニック発作で死ぬことはありません」と、その不安を少しでも解消してあげるのも一つですね。
まずは食生活や日常生活を改善し、心を整えることが大事ですが、お悩みの方は近くの自律神経専門医院に相談することをおすすめします。