タバコは百害あって一利なし?タバコが関与している病気は少なくありません。その一つ、声がれで気づくのが「ポリープ様(よう)声帯」です。「声帯ポリープ様変性」とも呼ばれ、40歳以上の喫煙者に多く見られます。あなたは大丈夫ですか?
似た疾患に「声帯ポリープ」があるので、要注意!
声帯はノドの左右にあり、声を出すための大切な器官です。そこにできるポリープなのですが、名前が似ていて間違いやすい疾患に「声帯ポリープ」があります。
声帯ポリープはのどを酷使することによって起こされているのに対し、ポリープ様声帯はヘビースモーカーの患者が圧倒的に多い疾患です。
また、声帯ポリープは声帯の一部に限られる病変に対して、ポリープ様声帯は声帯全部が病変し、むくみや腫れが大きな特徴で、両側に発症することも多いようです。
症状は声帯ポリープと似ています。「嗄声(させい)」と呼ばれる声がれやしわがれ声になるのが特徴です。のどの違和感を伴うこともよくあります。注意したいのは似たような症状に「喉頭がん」もあるので、素人判断はせずに、気になれば早めに耳鼻咽喉科での受診をおすすめします。
ファイバースコープで検査。軽い時は自然治癒も
診断は、間接喉頭鏡検査や喉頭ファイバースコープ検査などで腫れなどを調べて、判断されます。原因が喫煙ならば、タバコの本数を減らすと言わずに、禁煙することをおすすめします。軽度ならば禁煙するだけで症状が緩和されることもよくあります。
治療は、消炎剤などを投与することもあれば、嗄声が治らない場合や声帯の腫れがひどければ、声帯粘膜下の浮腫状組織を取り除く手術などを行うこともあります。
のどに負担をかけない優しい生活で予防しよう!
ポリープ様声帯や声帯ポリープなどは、どちらも声の出し過ぎやタバコの吸い過ぎなどに注意することが大切です。
のどにダメージを与えないためには、次のことにもご注意ください。
①「長時間話す時はのど休憩を入れて」
長時間、話すことは声帯に負担がかかります。そこで、話し続けず、時には声帯を休ませてあげることが大切です。演説や公演などでは、話す途中に「水休憩」などを入れるといいでしょう。
②「大声をあまり出さないこと」
大声は声帯の左右のひだが激しくぶつかり合うことになるので、大声を出すのはNGです。大声ではなく、必要な時はマイクやメガホンを使用しましょう。
③「のどの負担を減らすこと」
食事の時、前かがみになっていませんか?前屈みになると、胃が圧迫され、食事中や食後に胃酸が食道からのどに逆流しやすくなり、のどへの負担が増します。辛い食べ物や刺激物もほどほどにして、のど負担の緩和に務めましょう。
④「タバコやアルコールはほどほどに」
タバコに含まれているタールなどがのどには悪い刺激になります。アルコール飲料も飲みすぎると、声帯の粘膜に直接負担がかかりやすくなります。できれば、控えるようにしましょう。
⑤「普段から気をつけること」
・ 十分な睡眠をとり、疲労をためないようにしましょう。
・ クーラー、扇風機、冷たい飲食物などで、のどを冷やさないようにしましょう。
・ 空気の悪いところは要注意です。
・ 室内の乾燥にも気を付けましょう。
日頃からのどに優しい生活を心がけてください。