小3男児がまとめたアトピー性皮膚炎の自由研究がスゴすぎ 「アトピービジネスまで踏み込むとは…」と専門医も驚嘆

黒川 裕生 黒川 裕生

「患者さんの自由研究が、予想をはるかに突き抜けた完成度です」

「あとがきにある医療リテラシーの高さは、小学生とは思えないレベル…」

ほむほむ@アレルギー専門医さん(@ped_allergy)がTwitterで紹介した、小学生によるアトピー性皮膚炎の自由研究が「大人も舌を巻くクオリティだ」と注目を集めています。「ぼくをなやますこのかゆみ、どうやってつき合う?てっていかいぼうだ!オー!!」と勇ましく幕を開ける全46ページ(と、参考・引用文献リスト2ページ)。皮膚の仕組みやアトピー性皮膚炎が起こるメカニズムと病態、治療に使われるステロイド剤の種類などをおさらいしつつ、自身が取り組む「舌下免疫療法」についても経験を踏まえて調べ上げ、イラストや画像を交えてわかりやすくまとめてあります。

基本を押さえつつ、小学生ならではの視点も

まず目を引くのは、学生の論文かと見紛うほどきちんと章立てされた目次。しかも「アトピーせい皮ふえんって何だろう」「アトピーせい皮ふえんの原いん」といったタイトルが並ぶ中に、「ぼくのアレルギー人生」「ぼくの使っているステロイドざい」「(舌下免疫療法の)ぼくの毎日の記ろく」などもあり、実際にアトピー性皮膚炎を抱える小学生ならではの視点が盛り込まれていることが窺えます。

医学的根拠の乏しいサプリメントや水、代替医療などを患者に勧める悪徳商法「アトピービジネス」を取り上げた一節もあり、ほむほむ@アレルギー専門医さんも「ここに踏み込むとは…やるなあ…」と驚きの声を漏らしているほど。研究の最後にある「『知ること』がぼくの心を強くしてくれた」という言葉には、思わずグッときてしまいます。

「調べていると、終わりがなくなってしまう」

6月から実に3カ月もの時間をかけてこの研究を完成させたのは、都内在住のH.Oくん。小学3年生です。

――アトピー性皮膚炎の自由研究をしようと思ったのはなぜですか?

「自分がアレルギー体質で、自分の体についてもっと知りたくなったからです。そして、舌下免疫療法をはじめたのだけど、どんなものかよくわからなかったから、それについても知りたくなったので調べました」

――研究ではどんなことに苦労しましたか?

「調べていると、さらにわからないことが出てきてしまって、終わりがなくなってしまったことと、とにかく字をたくさん書いたことが大変でした」

――逆に、研究を通して楽しかったことや嬉しかったことはありますか?

「アレルゲンなどの絵を描くことが楽しかったのと、自分の体が今どんな状態なのかわかったことが嬉しかったです」

――研究したことで、普段の生活や心掛けで何か変わったことはありますか?

「仕組みが理解できたので、かゆいときには『あ、今ヒスタミンが放出されているんだな』など、体の中で自分が描いたヒスタミンのキャラクターが放出されている様子を想像して、笑ってしまいます。そして、薬をぬったり飲んだりするとき、『よろしく!』と思うようになりました」

専門医も「大人顔負けの医療リテラシー」と驚き

ほむほむ@アレルギー専門医こと小児アレルギー科医の堀向健太先生に「専門医の目から見て、この研究のどういうところに感心したのか、あらためて教えてください」と連絡すると、次のような返信をいただきました。

「感心したことはたくさんあるのですが、

①構成がしっかりしていること

②情報元(出典)を明らかにして掘り下げていること

③(Twitterで公開した部分にはありませんが)自分自身でも体験して、治療への前向きな気持ちを新たにしていること

…は特筆すべきことだと思います」

「そして『知ることがぼくの心を強くしてくれた』という言葉は、医療リテラシーとして、大人もなかなか至ることができない境地でしょう。『弟のスキンケアはぼくにおまかせ!』という言葉も、自分自身だけでなく、家族へ気持ちを広げていることが嬉しいなあと思います」

「いつも待ち時間が長い外来ですが、いずれ卒院できることを目標に一緒に頑張っていきたいです。アトピー性皮膚炎を抱えている多くの人や、舌下免疫療法に躊躇しているご家族に力を与えてくれる自由研究だと思います。100点満点です!!!」

H.Oくんに、堀向先生のTwitterでたくさんの人に見られた感想を訊ねました。

「とにかくびっくりしました。たくさんの人が応援してくれて嬉しかったです」

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