「多様性と調和」をコンセプトとした東京2020オリンピック・パラリンピックはコロナ禍の中、何とか終了。開催前はどうなることかと心配しましたが、多くの人に様々な感動をもたらしたのではないでしょうか。いまや遠い日のことのようにも思われますが、歯科医芸人のパンヂー陳こと、陳明裕さんが遅ればせながら五輪リポートをしてくれました。聞けば、ボランティアで参加していたそうです。
--しばらく音信不通で心配しましたよ。どうかしたんですか?
「実は五輪ロスでして」
--ロス五輪は大昔に終わってますよ。それに別に選手で出ていたわけでもなく、ただテレビで見ていただけでしょ?
「いえいえ、実はオリンピックではメディカルのボランティアをしてました」
--メ、メディカル?おー、さすがは、歯医者さん。でも無観客だったし、わざわざ歯医者さんが行かんでも、急に歯が痛くなった選手は正露丸でも詰めてたら治るでしょ?
「歯痛に正露丸って!お年がわかりますよ!確かに昔はテレビで”歯痛には歯に詰めてお使いください”ってCMやってましたけど。正露丸に含まれているクレオソートは、歯の根っこの治療薬として根管の消毒や歯髄炎の鎮痛・鎮静に用いる事が有りますから効くかもしれません。しかし、あの匂いがお口いっぱいに広がるのは、僕は嫌ですし、歯に詰めても対症療法にしかなりませんから歯医者としてはお勧めできませんねえ」
--話を膨らませんといてください。で、どこで、油売ってたんですか。
「配置されたのは富士スピードウェイの自転車ロードレース。有観客でしたのでAEDを肩からぶら下げて観客席の安全を見守っていました」
--それはご苦労様でした。何か事件はありましたか?
「自転車ロードレースはスタートからゴールまで6時間くらいの長丁場なので、盛り上がるのはゴールまでの数周って感じなんです。なので、それまでは会場では映像と音声で観戦するんですけど、当日、暑かったし、入場制限をしていたので、かなり客席に余裕がありました。よって、ベンチや会場の隅で結構、寝てる人が多くって、熱中症で倒れてるのか、お昼寝していらっしゃるのか、パッと見ただけでは判断できなくって。お声がけしたら”人が気持ちよう寝てたのに!”って迷惑そうな顔をされた事はよくありました」
--まぁ、確かに、見分けるのは難しそうですね。でも、熱中症で搬送とかじゃなくて良かった。他にトピックスは?
「そうそう、ロードレースでは、ゴール時に合わせて、五輪組織委員会のあの橋本聖子会長も観戦にいらっしゃってました」
--陳さん、橋本会長の前をAEDを肩からぶら下げて、ぶらぶら歩いてたんですか?
「いえいえ、橋本聖子さんは一般観客席とは別の、サーキットを挟んで向かい側にあるVIP席みたいな所から観戦されていましたから横切りはしませんでした。でも、もし僕がゴルゴ13だったら間違いなく仕留められる距離にいました」
--いやいや、別に仕留めんでもええし。最後にここまで読んでくださったみなさんのために、ボランティアをしていたからこそ分かったオリンピックトリビアか豆知識みたいなの、披露してくださいよ。
「じゃこんなのどうですか?実はメダリストの表彰台も黒いネコのマークの付いた制服を着た宅配業者が運んでいた」
--何、それ?!そんなん知っててもこれからの人生、何の役にも立ちませんよ。
「もともとトリビアとはそんなもんでしょ。っていうか、山本さん、これからの人生の方が短いんやから役に立てる必要もないでしょ」
--それはお互い様でしょ。もう、おしまい。何?パラリンピックにも行ってたって。じゃ、また近いうちに聞かせてください。
大会ボランティアは延べ7万6186人で男性が2万9677人、女性が4万1289人。最年少は19歳で最年長は91歳だったそう。その中の1人が陳さんだったとは。