あなたは大丈夫?「爪水虫」はマニキュア女性に増えている 寒くなっても条件が整えば白癬菌が増殖

ドクター備忘録

尾原 徹司 尾原 徹司

 「水虫」のケアは高温多湿の季節とは限りません。長時間靴を履く機会が多い人は、それだけで足の中は蒸れ蒸れ状態になり、水虫になる危険性は大。また、水虫=男性のイメージがありますが、女性も水虫に悩まされている人は少なくありません。中にはマニキュアなどネイルで「爪水虫」を悪化させている女性もいます。誰でもなりうる水虫の対策を考えてみました。

5人に1人は足水虫?誰でもなる危険性大!

 日本人の5人に1人が足の水虫「足白癬(あしはくせん)」に悩んでいるといわれています。水虫は白癬菌(はくせんきん)と呼ばれるカビが繁殖して起こる皮膚の病気です。

 白癬菌は高温多湿を好み、感染力が強く、たとえば、水虫にかかっている人が素足で足ふきマットや共用のスリッパを使えば、白癬菌がそこに付着され、そこから新たな感染者を出してしまいます。

 感染しやすい場所として考えられるのが、スポーツジムやプール、温泉施設、飲食店の座敷、家庭内など。しかし、白癬菌が付着したから即、うつるというわけではなく、白癬菌が皮膚内に潜入し、感染するまでには半日から1日かかるといわれています。

 だから、付着しても半日から1日以内にしっかりと足を洗えば、かなりの確立で防ぐことができます。そこで、家に帰れば、うがい、手洗いはもちろんのこと、足などもしっかり洗う習慣を身につけるといいでしょう。

マニキュア女性に増えている「爪水虫」も要注意!

 水虫の中でも近年、増えているのが「爪水虫(爪白癬)」です。10人に1人が爪水虫にかかっているともいわれています。爪水虫は、足の水虫と同じく爪が白癬菌に感染して引き起こされる疾患です。爪水虫の人は足の水虫にもかかっていることが多いので、足水虫に気がついたら、爪も要注意です。

 ところで、水虫といえばかゆみを伴うことが多いのですが、爪水虫は最初、自覚症状がない無症状のことが多いようです。初期に爪が白濁色になりやすいのですが「よく見なければ分からなかった」という声も多く聞かれます。その後、徐々に黄色、黒色と変わっていきます。

 爪の厚みが増すのも特徴のひとつですが、爪自体が盛り上がったように伸びたり、細菌感染で爪が取れたり、崩れだすこともあります。爪水虫は悪化すればするほど治療は難しくなり、治るまでに時間がかかります。よって、早期発見が大切なのです。

 ジェルネイルや付け爪をしている人は、硬化したジェルやスカルプチュアが爪から浮いた状態になると、その隙間に白癬菌が入り込み繁殖し、爪水虫になる危険性があるといわれています。

 また、マニキュアを落とす溶剤の除光液に含まれるアルコールは、爪の水分や油分を飛ばすので爪がもろくなり、爪水虫が悪化しやすくなるといわれています。爪水虫かなと思ったら除光液の使用を避けてください。

 ちなみに、爪水虫になると感染が広がるおそれがあるために、ネイルサロンで施術を受けられなくなります。

 爪が白や黄色に濁る、厚くなる、白い線が入るなど、爪の変化に気づいたら皮膚科で診てもらいましょう。爪水虫も水虫同様、だれでもなる危険性があります。

 夏がすぎ、秋が深まっていくと白癬菌の増殖は止まり、かゆみや水腫れといった症状がなくなって一見完治したのかと思いがちですが、冬場でも条件が整えば菌は増えていきます。足の指の間や爪の変化に日頃から注意して観察してみてください。

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