今年3月23日、北海道旭川市内に住む当時中学2年の廣瀬爽彩(さあや)さんが同市内の公園で凍死した姿で発見され、2年以上前からせい惨なイジメに遭っていたことが報じられた。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は今月4日に旭川市長選(9月26日投開票)の立候補予定者2人を同市内で別々に取材。8日、当サイトの取材に対して、行政のトップとなる可能性のある両者がこの問題について、どのような意識を持っているかを報告した。
事件発生時の旭川市長だった西川将人氏が衆議院議員総選挙出馬のため8月で辞職したことを受けて行われる市長選。小川氏は自身のYouTubeチャンネル「小川泰平の事件考察室」で、立候補を予定している今津寛介氏(44)と笠木薫氏(64)にインタビューし、公平を期して7日の同時刻に同時配信した。
今津氏の父は小泉内閣で防衛庁副長官(当時)を務めた今津寛氏。国会議員秘書を経験後、前回の市長選では次点で敗れ、今回が再挑戦となる。笠木氏は市議会議員を20年、市議会議長も務め、道議会議員を8月10日に辞職。西川前市長から後継者と指名されてバトンを受け継いだ。
小川氏は、関係者である子どもたちや教師にまだ聞き取り調査をしていない第三者委員会の存り方について問うた。
今津氏は「私自身も4人の子育てをする父であり、一番下の3男が中学2年生なので胸を痛めている」と語り、「ご遺族の意向を受けた人をメンバーに加えるべき。そうしなければ、どのような結果が出ても不信感を持たれる」と指摘。さらに、同氏は「私が危惧するのは第三者委員会の出す最終結果がいつになるか分からないこと。文科省も指導していますので、ご遺族に寄り添った中間報告、あるいは定期的な適時報告を3か月に1回、月に1回でもやるべき」と訴えた。
一方、笠木氏は「第三者機関として正確な書類調査から始める必要があり、その結果は簡単には出ない。まず書類調査ということで、当事者への聞き取りは控えたのだと思う」と見解を述べた。小川氏は「加害者側にも女子生徒がいるのに、第三者委員会は11人中、女性が3人しかいない」とメンバー構成の見直しを訴えると、笠木氏は「バランスが取れていないとか、やり直すべきとは思わない。今の11人で進めているので、継続して早急に調査結果を出してもらいたい」と語った。
続いて、小川氏は「9月5日は何の日か」と問うた。爽彩さんの15回目の誕生日だが、今津氏が正解したのに対し、笠木氏は答えられずに「失礼しました。本当に申し訳ないことです」と頭を下げた。
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さらに、小川氏は「市長に当選したら」という仮定で今後の対策を問うた。
今津氏は「旭川市長直轄の『いじめ110番SOS』をつくり、必ず市長に情報が届くようにする。教育委員会だけでなく、第三者との両面で問題に取り組む。イジメがないことが先生方の評価につながっている現状を改善し、小さなことでも報告して評価する体制作りが必要。GIGAスクール構想で端末もありますから、そこから報告してもいい」とした。
笠木氏は「悲しい出来事が2度と起きないように全力を挙げる」と表明。小川氏が「第三者委員会の報告から犯罪の可能性があれば、市長として警察に再捜査を直接依頼するか」と質問すると。同氏は「必要があれば。当然」と返答した。
最後に、小川氏は遺族の手記にあった「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ」という教頭発言への印象を質問。今津氏は「そういう発言があったとすれば信じられない。しっかり反省し、罪を償った上での加害者の未来ではないのか」、笠木氏は「事実であればとんでもない発言」と反応した。
小川氏は「市長の仕事はイジメ問題だけではないし、どちらを応援するということではない」とした上で、「今津さんは爽彩さんの誕生日を知っていて私は驚いた。イジメ問題にも関心が高く、公約に入れるのではないかと感じた。笠木さんは後継者ということで、西川市長のことは中々否定できない感じでした。今までやってきたことは間違いでないという姿勢だった」と評した。