町医者も驚く身近にいる“スーパーマン” 高齢化する社会に「生涯現役でありたいと願う」

ドクター備忘録

谷光 利昭 谷光 利昭

 スーパーマンと聞いて一般の人が想像するのは、映画に出てくるスーパーマンだと思います。しかし、私のような町医者をしていると身近に多くのスーパーマンあるいはスーパーウーマンがいることに気づかされます。

 96歳のおじいさんは毎日自転車に乗って、モーニングを食べに行っています。体重30キロ少しの小さな89歳のおばあさんが毎日、畑に出て無農薬野菜を作っています。かつて外科医だったとき、がん末期の患者さんは、1日2回の回診で声をかけると、辛いはずなのに「気分は上々です」といつも笑顔で応えられてくれました。

 身内で恐縮ですが、86歳の義父は義母を亡くしてからも力強く、毎日を過ごしています。先日他界した87歳の父は、亡くなる直前まで自力歩行でトイレに行き、母の腕の中で安らかに永眠しました。

 超高齢でも元気に日常生活を送っている方々が目の前にいるのは非常に心強い限りです。病気になっても自尊心を保ち、しっかりと生きる大切さも教えてもらえます。特別なことをせず、特別な能力がなくとも日々大切に丁寧に生きていく大切さを実感できる、この仕事は本当に素晴らしいと思っています。

 2025年になると75歳以上の高齢者が人口の約4分の1を占め、様々な問題が出現します。医療系では、老人が老人を介護すること、認知症の人が認知症の人を介護しなければならないことがあります。当院も開院15年で、私も含めてスタッフの年齢も上がってきました。開業当初のように不休で朝から晩まで仕事をすることはさすがに厳しいです。

 この仕事を何歳まで続けられるかは、私の覚悟と日頃の勉強、体力づくりにかかるとは思いますが、先ほどのスーパーマン、スーパーウーマンのように生涯現役で生活したいと強く思うようになる今日この頃です。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース