「まだ大丈夫」「国際結婚しそうな気がするわ」患者さんからもらった魔法の言葉 人生が変わった看護師も

松林 あゆみ 松林 あゆみ

看護師として働いていると、「患者さんに相談して悩みが解決したよ」「患者さんに相談して考え方や人生変わったよ」と言っている看護師の言葉を聞くことがあります。入院している患者は長期間病院に入院しています。看護師として退院まで接していると、徐々に仲良くなり、自分より人生経験のある患者に自分のプライベートでの悩み相談をすることがあるのです。患者も、自分の子どもや孫と同じ年齢の看護師の悩みを人ごととは思えないようで、親身に聞き相談に乗ってくれます。その結果、患者からもらったアドバイスで、人生が変わったという看護師がいるのです…。

助産師になろうか迷っていると…

看護師の友人Aは産婦人科で働く看護師でした。働くうちに「もっと知識を深めたい。妊産婦さんの力になりたい」と助産師になりたいと思いが募っていったそうです。しかし、年齢が30歳となり「勉強するのも大変だし、年齢的にも厳しいのではないか」となかなか助産師学校に行く勇気がなかったA。そこに栄養士から看護師になったという妊婦さんが2人目の出産のために入院してきました。

栄養士から看護師になるということがどれだけ大変か分かっていたため、自分の助産師になりたいという思いを相談してみたそうです。「私は32歳で看護学校に行き、35歳で看護師になったのよ。私でも出来たから30歳ならまだまだ大丈夫よ」そう言われて背中を押されました。その後、Aは助産師の学校に行き念願の助産師になりました。「あの時に背中を押してくれたから助産師になれた。諦めないで良かった。相談して良かった」そう言っていました。

英語が上手になりたいと相談すると…

病棟で働いていた看護師の同期Bは英語を習っていて少し英語が話せました。そこに英語と日本語の通訳をしている女性が入院してきます。Bは「もっと英語が上手になりたいがどうすればいいか」という相談をしました。

海外生活が長い彼女はアメリカでの生活を話してくれたそうです。

「英語が上手に話したいなら、Bさんも海外に行くといいよ。あなたは、海外に行ったらモテそうだし、外国人と国際結婚しそうな感じがするわ」そう言われたBは「海外へ行きたい」という気持ちが強くなったそうです。

その後病院を辞めてカナダへワーキングホリデーに行ったB。ワーキングホリデーが終わった後、スペイン人を連れて帰国。そしてそのスペイン人と国際結婚していました。患者さんが言ったことが本当になっていて驚きました。

「あの患者に相談して良かった。人生変わった」そう言っていました。

ママになり資格を取ることを諦めていたけれど…

ママになり看護師として病棟で働いていた私の話になります。

私はスキルアップのために「ケアマネージャーの資格を取りたい」という気持ちがありました。しかし、ママをしながら看護師として働いているとなかなか勉強をするという時間は取れません。私は諦めていました。

そんな時、患者Cさんが入院してきました。

3人の子どもを育てたCさんと話をするうちに親しくなりました。私は「ママになり家事と子育てと仕事に追われる生活で時間がなく、何も出来ない」と悩みを相談しました。

すると、Cさんは「世界中の人に平等に与えられているものって何だと思う?それは時間です。24時間という時間をどう使うかで人生が変わっていく。例えば子どもが寝ている朝に早く起きて勉強をするとか、家事の隙間時間に動画を聞き流して勉強するとか24時間を有効に使ってみるといいわよ」。そう言われてハッとしました。

私は今まで時間について考えたことはありませんでした。朝活をして勉強するということも思いつきませんでした。「子どもが寝ている間に勉強をしよう」と、朝活を始めました。はじめは朝早く起きるのが辛かったですが、慣れてくると朝早く自然と目が覚めました。朝活で勉強を続けてケアマネージャーの試験に合格して資格を取ることが出来ました。

その後ケアマネージャーと看護師という資格を持っている私に、ディサービスの立ち上げの仕事を手伝って欲しいと依頼がありました。今私はディサービスの仕事に関わっています。今でも朝活は続けています。あの時、患者から時間の大切さ・使い方を教えてもらい、自分の考え方が変わりケアマネージャーという資格を取り、新しい仕事をすることも出来ました。

   ◇   ◇

「看護師は患者からいろんなことを教わる」と言われています。私自身、人生経験豊富な患者からいろんなことを教わってきました。そんな人生経験豊富な患者の言葉は、時には看護師の考え方や人生も変えてしまう。患者さんの言葉にはそんな魔法のような力があるようです。

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