「はじめまして」の場面で自分の職業をあまり言いたくない、と思う人は多いです。看護師も例外ではありません。なぜなら自己紹介をしたのちに「健康相談」がはじまることがあるからです。真剣なことから「そんなことまで私に?」というびっくりする相談を受けることも。そこで困ったことやちょっと笑える相談の経験や、健康相談を受けるときの看護師の本音についてお伝えします。
私たち看護師は病院で「医師には言いにくいけど看護師さんには話しやすい」と言われることも多く、病院の中でも患者さんにとって一番身近だと感じてもらえる職業です。やさしいイメージや親しみやすい感じがあるため、「なんだか相談しやすい」印象につながっているのでしょう。
私自身も、タクシーの運転手さんや飲み会でたまたま隣になった人から健康について相談されることがありました。内容としては「最近は腰が痛くて」とか「背中が痛いんだけどなんか病気かな」などテレビを見て気になることを聞いたということが多いです。
時には合コンで残念な思いをすることも。
出会いを求めてドキドキしているときに、突然、相手の健康相談がはじまったのです。ほぼ初対面の状態でかなり真剣な健康相談。
…あれ、私、出会いを求めて合コン来たんだけどなぁ。
看護師の意見を本気で聞きたいという相手の姿勢に、申し訳ないけどひいてしまいました。相談するタイミングはお互いの親密度を考慮してほしいところです。
プライベートまで仕事している気分になって恋愛モードから引き戻される。私のドキドキを返してくれ、とあのときの彼に伝えたいです。
びっくりしたのはペットの犬の体調不良を相談されたこと。確かに体の構造はほ乳類だから大まかに同じなのかもしれません。同じ病気にかかってしまうこともあるので同じ症状が出たり、人間と同じ薬が処方されることもあります。
しかし、私は人間専門の看護師なのです。動物に関しては全く自信がありません。どこで脈を測るのか、これはぐったりしているのかどうかなど判断できる技術も持っていませんでした。私では役に立たないので動物病院に行ったほうがいいと即座におすすめさせていただきました。
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「健康相談されると困る」と思うのはなぜなのか…という点に触れてみましょう。
ここは相談者と看護師との関係性もあるでしょう。
家族や親友の場合、深刻なら親身になって考えるし、大したことなければ大丈夫じゃないかと伝えることもあります。
一方で、友達の友達とちょっと縁の遠い人やあまり知らない人からの相談はちょっと避けたいところ。なぜなら下手なことを言って何かあったとしても「責任が取れない」からです。
看護師ゆえに健康や病気に関する発言が必要以上に真剣に受け止められることもあります。「様子を見ていいんじゃないか」と伝えたあとに悪化したらという最悪の事態は避けたいのです。
前提として、看護師は医者ではないので病気かどうかの診断ができません。そして看護師が発する言葉の重みを理解しているため、軽はずみなことは言えないのです。
だから最後は決まって「心配だったら一度受診したほうがいい」でしめくくります。家族でも親しくない人も、最終的には病院で診察、検査してもらって悩みを解決するのがベストでしょう。
また、オフの時間は仕事から解放されたい!という気持ちもあらわれます。職場では常に緊張した状態で働いているため日々ストレスはかかります。オンとオフの切り替えが大事な職業です。プライベートでは仕事を忘れてリフレッシュしたいところ。なので、休みのときぐらい仕事のことは忘れていたいという看護師のSOSでもありますね。
もし、あなたが看護師の知り合いに健康についての相談をしたい場合。初対面での相談はぐっとこらえて、ある程度の関係性を築いてから相談することをおすすめします。
また、最近では役場や企業などで看護師が健康の相談を受けるサービスも行われています。急ぎの相談があってお困りでしたらぜひ活用してはいかがでしょうか。