「癒やされた」 ふにゃふにゃ、しわしわの赤ちゃんに会える写真展「令和のたからもの」開催

八木 純子 八木 純子

 令和元年に生まれたばかりの赤ちゃん108人を写した写真展「令和のたからもの」が8月4日から、兵庫県西宮市の阪急西宮ガーデンズ本館1階で始まった。昨年5月の大阪に続いて2回目で、当初予定していた5月開催がコロナ禍で延期されていた。写真集も発売されており、来場者からは「命の素晴らしさを再確認できた」と大好評。会場で写真家の生原良幸さん(73)に話を聞いた。

命の素晴らしさを実感する写真展

 会場のウェルカムガーデンに着くと、生まれたばかりの赤ちゃんが並んだ写真が目に飛び込んできた。幸せそうにあくびをする姿、しわしわの小さな手、やっと開いたつぶらな瞳などなど…。赤ちゃんには不思議な力があり、116点の生き生きとした表情を眺めるだけで、こちらも癒やされ、思わず表情が緩む。

 「どの赤ちゃんも可愛いくて、しぐさや表情を見ていると自然に笑顔になる。お母さんのおなかの中から出てくる大仕事をした赤ちゃんから命の尊さやエネルギーを感じながらシャッターを切っていました」と、撮影時を思い出すように語ってくれた生原さん。

 会場内は感染症対策として来場者が滞留しないようなレイアウトが施され、ゆったりと眺めることができた。来店者は実に様々。家族連れやカップル、仕事帰りのサラリーマンやOL、学生などが足を止めて鑑賞していた。

 妊婦さんの姿もちらほら。夫とお嬢ちゃんと訪れていた30代の女性は「西宮ガーデンズに来たらちょうど開催されていて、見ていこうと思いました。この9月に2人目を出産するのですが、写真展を見て、うちの娘もこんなんだったなあと当時を思い出しました」と笑顔で語っていた。

 10~20代と思われる女性たちに感想を聞くと「かわいいです」という声がもっぱら。また、鑑賞していた50代の男性は「コロナ禍で多くの人の命が失われています。赤ちゃんの写真を見て、命の大切さを痛感しました」と話した。

ポートレートの第一人者が赤ちゃんを撮影した理由

 見る人の心を癒し、命の素晴らしさも教えてくれる今回の写真展を開いた生原良幸さん。徳島生まれで、関西を拠点に世界的に活躍してきた写真家だ。

 広告写真や人物写真を得意としており、これまでに有名人から市井の人まで数多くの人を撮影。明治、大正、昭和を生きた「100歳のポートレート」などを発表してきた。そんな中、「命の原点」である赤ちゃんをテーマに撮影することを思い立ち、改元となった2019年5月1日から年末までの間、大阪や兵庫などの産科病院の協力や親の理解を得て、新生児の撮影を行った。

 カメラに収めたのは双子1組を含む「令和元年生まれ」の赤ちゃん108人。この5月には赤ちゃんたちの写真集「ふにゃふにゃの宝石」を大阪の出版社「澪標(みおつくし)」から刊行(オールカラー76ページ、2000円)されており、阪急西宮ガーデンズ4階のブックファーストなどでも発売中だ。

 また、多くの人に赤ちゃんの写真で笑顔と希望を取り戻してもらいたいと、今回の写真集を東日本大震災の被災地である東北4県の公立図書館191カ所に寄贈したという。さらに第2弾として、全国に約4000カ所ある介護老人保健施設の中から100施設に、この写真集をプレゼントすることを計画。実現に向け、クラウドファンディング「READYFOR」で「ふにゃふにゃの宝石 応援プロジェクト」をスタートさせた。期間は2021年9月17日まで。「こちらもご協力いただければうれしい」と生原さんは呼び掛ける。

 「夏休み中なので、多くの人に写真を見てもらえそうです。また、写真展に来ることができない人には写真集を見ていただければありがたいですね。そして、コロナ禍の今だからこそ、赤ちゃんの写真で癒されて、パワーももらっていただけたらうれしいです」

 コロナ時代の今、赤ちゃんの写真が多くの人を笑顔にしてくれることは間違いありませんね。

◇写真展「令和のたからもの」

場所=阪急西宮ガーデンズ本館1階ウェルカムガーデン

期間=2021年8月4日~8月31日 10時~20時(入場無料)

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