両親に続いて夫まで…ひとりぼっちになった未亡人のもとに、やってきた猫 何気ない日々に彩りが戻ってきた

ふじかわ 陽子 ふじかわ 陽子

両親の介護を終え、これからは夫婦二人でのんびりしたいねと言っていたのに…。ふとした瞬間に夫が亡くなり、一人残された女性が大阪府におられます。Eさん、今年56歳。夫が旅立ってからは、何をしても味気がありません。世界からは色が消え、まるで真っ白の世界になったかのよう。

周囲が心配して色々とやってみようと声をかけてくれますが、続いているのは地域猫のお世話ぐらい。それも主だったお世話は向かいの女性がしてくれていますから、Eさんはお手伝いだけでした。1匹ぐらいうちに来てくれたら嬉しいと思っていましたが、今まで1匹も家の中まで入ってきてくれる猫はいませんでした。

そんなEさんに、一本の電話が入ります。親戚の子供からで、奈良で猫を保護したから2匹連れていくというものでした。Eさんは心弾みます。どんな子たちなのだろう。

連れて来られた猫は、生後1カ月ほど。真っ白な女の子と男の子1匹ずつでした。なんでも、野球の練習場に母猫がいつき、その子が出産した子たちとのこと。母猫は避妊手術をし、他の方に貰われていったそうです。

Eさんはこの2匹を大事大事に可愛がるのですが、残念なことに男の子は1週間ほどで虹の橋のたもとへ…。また置いていかれたと茫然自失になりそうな中、女の子の子猫はEさんに寄り添います。この子こそ小麦ちゃん、今もEさんの隣でニコニコ笑っている子です。

小麦ちゃんは元気いっぱい。家中を駆け回り、壁紙をバリバリ。つい先日まで、家の中がしんと静まり返っていたのが嘘のよう。いつもどこかで小麦ちゃんが走り回る音が聞こえてきます。

ちょっと困ったのは、トイレをなかなか覚えてくれなかったこと。「したい!」と思ったところにしていたので、Eさんはバケツと雑巾が手放せませんでした。それでも、嬉しかった。お世話を焼く相手がいるのがこんなに楽しいなんて、思ってもみませんでした。

もっと良かったのは、とても規則正しい生活になったことです。朝は6時になったら小麦ちゃんが起こしにきます。「あともうちょっと」と思っても、小麦ちゃんは待ってくれません。

「おかあさん、小麦はおなかすいているよ」

そんな感じのことを「にゃー」で言うんです。起きないわけにはいきません。小麦ちゃんのご飯が済んだら、今度は地域猫のご飯です。6時半になると、玄関前に猫たちはスタンバイ。ずらっと並んでいるんですって。ご飯を食べてもらっている横で、地域猫のトイレ掃除です。

朝のルーティンが終わったら、のんびり家事です。その間も、ずっと小麦ちゃんはついてくるんですよ。掃除機をかけていても洗濯物を干していても、休憩でテレビを見ていても、小麦ちゃんが一緒。猫はよく「ツンデレ」と言いますが、小麦ちゃんに限っては「デレ」しかないんですって。

夜は10時になると、小麦ちゃんはお布団にIN。おかあさんが来るのを待ちます。なかなか来なかったら、おかあさんを呼ぶんですよ。お布団に入らないわけにはいきません。布団をかけていないと、ポンポンと肩を叩くことも。

このように規則正しい生活になったEさん。今では世界が真っ白だなんて言っていられません。何気ない日々がとても鮮やかなものになりました。すると、真っ白だった小麦ちゃんも色付き始めたのです。今では子猫のころ白猫だとは思えないほど。

この小麦ちゃんの特技は握手。おやつをあげる時に試してみたら、それが定番になったのです。おかあさんと握手をして、おかあさんの顔を眺めながらおやつが小麦ちゃんの何よりの楽しみなんです。

この生活が始まって2年。夫を見送った時はどうなるかと思っていましたが、Eさんの第二の人生は良いものになってきています。

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