「ある会社の敷地内に、ダンボールに入れられた産まれたての3匹の赤ちゃん猫が棄てられていました」
そんな投稿がInstagramで注目を集めています。投稿したのは、個人で保護猫ボランティア活動を行う凛(Rin)さん(@littlerin.maron)。へその緒が付いたまま遺棄された3匹の子猫のうち、2匹は亡くなってしまいましたが、残る1匹は“母猫”の深い愛情に支えられながら懸命に生きています。詳しい経緯について、凛さんに話を聞きました。
「みーみー」と鳴く声 段ボール箱の中にいた生まれたての命
子猫たちが見つかったのは、保護主さんの職場の駐車場近く。草が生い茂るフェンス脇に、小さな段ボール箱が置かれていたといいます。
「常連のお客様から『子猫が段ボール箱に入れて捨てられている』と聞き、スタッフと一緒に見にいきました」
箱を持ち上げると、中からかすかな鳴き声が聞こえてきました。
「開けてみると、私でも生まれたばかりだと分かるほど小さな子猫が3匹入っていました。へその緒も付いていて、一生懸命鳴きながら動いていました」
白い子猫が2匹、黒とも茶色とも見える子が1匹。しかし、そのうち1匹は特に小さく、すでに元気がないように見えたそうです。さらに箱の中には、まだ食べられるはずのないキャットフードも入れられていました。
「ごめんね」と置いて帰った夜 夫が連れ帰ってきた段ボール箱
発見後、会社からは「そのままにしておいて」と言われたといいます。
保護主さんたちは仕事終わりに再び現場を訪れ、引き取ってくれる人を探して回りました。知人や常連客に何人も声をかけましたが、「小さすぎる」「すでに猫がいる」などの理由で引き取り手は見つかりませんでした。
保護主さん自身も、自宅ではお子さんに猫アレルギーの可能性があったため、連れて帰る決断ができませんでした。
「本当にごめんね、ごめんねと思いながら段ボール箱を元の場所に戻しました」
しかし、その数時間後。仕事を終えた夫から電話が入ります。
「どの辺に段ボール箱があるの?」
場所を伝えたあと帰宅すると、玄関のドアが開きました。そこに立っていた夫の手には、あの段ボール箱が抱えられていたのです。
「主人は『やっぱり見殺しにはできない』と言って連れて帰ってきてくれました。私は泣きながらお礼を言いました」
2匹は救えなかった…それでも「もう1匹だけは絶対に助けたい」
しかし、生まれたばかりの子猫を人の手で育てることは簡単ではありませんでした。最も小さかった黒茶色の子は、翌朝には冷たくなっていたそうです。手のひらで温めると少し動いたものの、その日のうちに息を引き取りました。
もう1匹の白い子も、一時はミルクを飲み排泄もできていましたが、その後静かに亡くなりました。
「本当に本当に、子猫を育てるのは難しいんだなと思いました。助けてあげられなくてごめんねという気持ちと、残った1匹だけは絶対に生きてほしいという思いでした」
そんな中、保護活動を行う凛さんの元へ託されたのが、唯一生き残った白い子猫でした。
「すぐにくわえて運んでいった」 母猫アイラが見せた深い愛情
凛さんの元へ来た時、白い子猫は低体温で痩せており、鳴き声も小さく元気がありませんでした。ペットヒーターで体を温め、ブドウ糖とミルクを与えると、少しずつ飲み始めたといいます。
「シリンジで上手に飲んでくれたので、『これなら生きられる』という希望を感じました」
そこで凛さんは、2週間前に出産したばかりの母猫・アイラちゃんに託してみることにしました。
「きっと受け入れてくれる、という根拠のない自信がありました」
すると予感は的中します。アイラちゃんは白い猫を見るなり優しくくわえ、自分の子猫たちがいる巣箱へ運んでいったのです。
「そして我が子と同じようにお世話をしてくれました」
その後もしばらくは3時間おきの人工哺乳が続きましたが、白い子猫は徐々に体力を取り戻し、自力でアイラちゃんのおっぱいを飲めるようになりました。アイラちゃんは自分の子猫たちだけでなく、他の保護乳飲み子たちも面倒を見ていたため、当時育てていた子猫は総勢10匹。
「アイラと私の2人で子育てをした形です」
少しでも子猫の声が聞こえると飛んできて、体重測定や投薬のために子猫を抱き上げると、そばでじっと見守っていたというアイラちゃん。
「見守るというより、『早く返して』と圧をかけてきました(笑)」
そんな優しい母猫の愛情に包まれながら、白い子猫は順調に成長しているそうです。
「命を捨てることは犯罪」 保護活動の現場から訴え
今後はアイラちゃんと実子3匹の里親募集が始まり、その後に白い子猫も新しい家族を探す予定です。
「アイラがあまりに人懐っこいので、育てた子どもたちもみんな人が大好きです。思いっきりかわいがってもらって幸せになってくれたらうれしいです」
一方で凛さんは、後を絶たない動物遺棄についても強い思いを語ります。
「動物の遺棄は犯罪です。それなのに毎日のように保護依頼があります。遺棄する人には犯罪を犯している意識も、命を捨てているという感覚も薄れているように感じます」
へその緒が付いたまま捨てられた3つの小さな命。2匹は救えませんでしたが、残された1匹は多くの人の優しさと、母猫アイラちゃんの深い愛情によって生きるチャンスをつかみました。
白い子猫がこれから幸せな未来へ歩んでいくことを願わずにはいられません。