「ねこけつ」に「へそてん」…猫好きにとってはたまらないネーミングとビジュアルのクラフトビールが、ローソンの限定店舗で静かに人気を集めている。
ワイン卸業を展開する「野口店舗開発株式会社」が企画・販売を行う「ねこのクラフトビール」シリーズ。思わず手に取りたくなるビジュアルはもちろんだが、その味わいも期待を裏切らない本格派だ。
「クラフトビールをもっとおもしろく!」をコンセプトに醸造されたラインナップは、グレープフルーツやりんご、バナナ風味などフレーバーも多種多様。香りや風味が飛ばないように、あえて「濾過」の工程を省くことで、フレッシュな味わいをキープしている。その代償(?)として賞味期限は約2カ月程度と短くなっているが、ビールが得意ではないユーザーまでもが「おいしい」とリピートするほどの飲みやすさ。現行販売されているのは12種類だが、そのどれもが「手に取ってかわいい」「飲んでおいしい」と、1本で2回笑顔になれる人気者だ。
同シリーズがローソン店舗で販売を開始したのは、2019年10月。当初は5店舗限定で販売されていたが、Twitterをきっかけに人気に火が付いた。ユーザーが投稿した「ねこぱんち」「ねこけつ」などの商品画像が約5万件の「いいね」を集め、完売店舗が続出。それに伴い、販売店舗数を徐々に拡大していった。
店舗ごとに仕入れ状況が異なるため、販売店舗数は流動的だが、これまでの販売実績は東京・千葉・神奈川・埼玉エリアで88店舗。エリア外のユーザーも手に取れるよう、このほどネット販売(アソートパック限定)もスタートした。
もともとは、ビールの醸造元である「ベクターブルーイング」が自社レストランの樽用に製造していたクラフトビール。賞味期限が短いことから、ロスが出そうな際には瓶詰めして、地元・浅草橋周辺でのみ店舗販売を行っていた。
そのビールの味に惚れ込んだのが、野口店舗開発株式会社代表の野口保雄さん。「おもしろくて素敵な商品を扱いたい」と話していた取引先のローソンオーナーに声をかけ、まずは5店舗から販売をスタートした。その中で、頭一つ抜きん出て売れたのが「ねこぱんち」という商品だった。
「当時のベクターブルーイングのラインナップの中で、ねこをモチーフにしたビールは『ねこぱんち』だけ。もちろん、どのビールも間違いなくおいしいのですが、不思議なくらい『ねこぱんち』以外は売れなかったのです」(野口さん)
他のビールのおいしさも知ってもらうためには、まず手に取ってもらわなくては始まらない――。そう考えた野口さんは、ユーザーが思わず手に取りたくなるようなラベルとして「ねこけつ」を考案。試しに、1種類のビールのラベルを「ねこけつ」に変えてみたところ、わずか1日でそのビールが完売したという。
「お客さんが喜んでくれたことで、ローソンのオーナーさんもベクターブルーイングさんも喜んでくれた。それなら、と第2弾、第3弾のラベルを作っているうちに、コロナ禍が拡大していきました」
「その影響で自社レストランでのビールの提供が難しくなり、ベクターブルーイングさんとしてもビール在庫の消化が厳しくなっていった。少しでも助けになれば、と思い、弊社がもともとワインを卸していたその他のローソンさんにも掛け合って『ねこのクラフトビール』シリーズの販売店舗を増やしていったんです」と野口さんは話す。
その結果、同シリーズがTwitterで話題に。累計販売数も現在は約5万3000本にまで伸びた。かわいらしいラベルが集まる中で、最も注目を集めるのはやはり「ねこけつ」。「これは買っちゃう」「ねこけつに降参」と、そのネーミングに胸を射抜かれるユーザーが続出している。
「過去には『へそてん』という限定商品も人気を集めた」と言う野口さん。ネーミングについては「味は真面目に作られているので、ラベルはくすりと笑えるようなものにしたかった。幸い、私も妻も猫が大好きなので、猫の生態からたくさんのヒントをもらいました。『おもしろい』『かわいい』と手に取って、飲んでみるとおいしくて驚く。そんなビールで、みなさんの心が少しでも軽くなってくれたらうれしいです」と話す。
7月20日からは、南国のフルーツのようなジューシーさが特長の「ねこ富士」を限定発売中。日本を象徴する富士山に金ラベルのデザインは、自宅でのオリンピック観戦をさらに盛り上げてくれそうだ。なお、同シリーズの売上の一部は、ネーミングのヒントをくれた猫への感謝も込めて、保護猫活動に寄付される。
▼ローソン取扱店MAP
https://www.google.com/maps/d/edit?mid=1sDds5Je81mpLhCfyASDCiy-aJbyUFQYN&usp=sharing
▼ねこのクラフトビールECサイト
https://neko-beer.square.site/
▼ベクターブルーイング(醸造元)