「働くなら、ワクチンは当然だ」接種は任意のはずなのに―職場で感じる“圧力”

島田 志麻 島田 志麻
新型コロナワクチン接種のお知らせと予診票(Caito/stock.adobe.com)
新型コロナワクチン接種のお知らせと予診票(Caito/stock.adobe.com)

新型コロナウイルスのワクチン接種が日本で始まって、はや5カ月がたちます。接種対象者は徐々に拡大しつつあるものの、ワクチンの供給不足の影響で接種の予約ができなくなった自治体があるなど、混乱も生じています。また、「1日でも早くワクチン接種を完了させるべきだ」と思っている人が多い反面、連日のように報道されるワクチン接種の副反応に恐怖を感じている人がいるというのも事実です。

ワクチン接種は任意であり、義務ではありませんが、業種や会社の方針によって「打たなくてはいけない」とされるケースも増えています。「ワクチンハラスメント」という言葉がここ最近報道されるようになったのは、このことが大きく影響しているからでしょう。

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看護師として働いている私の知人Aさんは、上司から「医療従事者として働くなら、ワクチン接種は当然だ」と言われました。しかし、彼女はアレルギー体質ということもあり、「副反応が起きて、もしものことが起きてしまったら…」と考え、接種を拒みました。

ワクチンは、接種後に重篤なだるさや発熱・頭痛などが副反応として起きると報道されていますが、決してリスクの高いものではありません。彼女自身「職業柄、ワクチン接種したほうがいい」とはわかっていても、副反応の情報が正しいのか確証が持てず、接種する勇気が湧かないのだと言います。

その後、彼女は上司にアレルギー体質であること、以前薬剤アレルギーでアナフィラキシーショックを起こし、1週間入院したことを伝えると「無理には接種しなくていいけど、感染予防には十分気を付けてね」と念押されたとのことでした。

彼女の場合、上司だけではなく、他の社員の中にも接種しないことへの理解者が多いこともあり、職場で白い目で見られることはないようです。

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一方、私の知人Bさんの場合は、会社の社長から「打たないと他の社員に迷惑がかかる。必ず全員がワクチンを接種するように」と指導があったようです。彼はワクチン接種をすることへの恐怖よりも、社員へ自分の意見を押し付けようとする社長の姿に信頼をなくしたと言っていました。

彼の場合は、他の社員が次々に接種し始めたことや、社長の目が気になり、接種することにしたそうです。ちなみに、ワクチン接種の翌日は有給を取得していいと会社側から通達があったとのことでした。

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新型コロナワクチンについて説明している厚生労働省のホームページでも、「接種は強制ではなく、あくまでご本人の意思に基づき接種を受けていただくものです」と書かれています。あわせて同ページには「職場におけるいじめ・嫌がらせなどに関する相談窓口」として厚生労働省の総合労働相談コーナー、「人権相談に関する窓口」として法務省の人権擁護機関が紹介されています。

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