菅首相の発言「感染拡大なら五輪開催を再考」は嘘ですか? 夜回り先生が訴え「再考すべきは今」

夜回り先生・水谷修/少数異見

水谷 修 水谷 修
「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏
「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏

 新型コロナウイルスの感染拡大で東京都に4回目の緊急事態宣言が出される中、東京五輪・パラリンピック開幕まであと1週間となった。水際での検疫体制、飲食店へのアルコール規制、自宅待機を余儀なくされる感染者…。コロナ禍での五輪開催を前に多くの問題が噴出している。東京都の新規感染者数は15日に1300人を超えたが、具体的な説明もなく「安全安心な大会」を繰り返す菅義偉首相に対し、「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は「嘘は、この国を滅ぼす」と苦言を呈し、改めて「中止」を訴えた。

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 昨年、安倍政権下で、オリンピック、パラリンビックを1年延期することになりました。その時、政権が約束したことは、開催を中止することではなく、1年延期した上で、新型コロナウイルスに対する適切な対応をした上で、「安心、安全な開催」をすることだったはずです。

 あれから1年の月日が流れました。政府は、安倍政権から菅政権へと変わりましたが、どれだけの対策をしてきたのでしょう。確かに、この新型コロナウイルスは、天災です。どう対応しても、対応しきれないほどの問題があったことは理解できます。しかし、それでも、「安心、安全」となっていない中、オリンピックが始まります。これだけ感染拡大している中で、世界中の一流のアスリートを一カ所に集めて。これは、嘘ではないのでしょうか。

 日本は島国です。当然、日本に入国するには、飛行機か船で入るしかなく、そこでは検疫がなされているはずです。そこで、新型コロナウイルスの感染の危険性がある人たちは、当然、隔離され、そして、国内にコロナウイルスの変異株が入ることは防ぐことができるはずです。しかし…。一体、政府は、どれだけの検疫体制を組んでいたのでしょうか。すべての外国から来る人たちの流れを止めれば、どれだけの命を救うことができたのでしょうか。また、今回のオリンピック、パラリンピックの開催で、数万人の人たちが海外から日本へ入国します。

 また、政府は、飲食店を集中的に規制しています。アルコール類の提供禁止、営業時間や会食人数の制限…。でも、現状を見れば、飲食店での感染拡大より、学校や家庭内感染の拡大が、現在の状況を生み出していることは明らかです。なぜ、飲食店のみをこれだけ攻撃するのでしょう。矛盾です。ここまでやるのなら、昨年の3月と同様、学校も休校とし、企業についてもリモートを徹底すべきです。

 しかも、感染した人たちの隔離についても、安全な施設を作ることもせず、自宅待機。これでは、命を失う人たちが多数出ても当然です。

 菅首相にお願いです。もう、嘘は止めて欲しい。あなたは、感染が拡大したなら、オリンピック、パラリンピックの開催については再考すると言いました。その再考するときは、まさに今なのではないのですか。「安心、安全」なオリンピックになるのですか。そうまでして、なぜ、やらなくてはならないのですか。

 国民には、出歩くな、外で飲むなと語り、その一方で、外国から多くの人を日本に呼び込み、国民の命を危険にさらす。こんなことが許されるはずもありません。嘘は、止めましょう。国民のために、国民の命を守るために、まずは、オリンピック、パラリンピックを中止して欲しい。これは、多くの国民の願いです。

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