地方私鉄から熱烈オファー!令和に入って「モテ期到来」のアラフォーの気動車「キハ40形」3つの魅力

新田 浩之 新田 浩之

兵庫県加西市と小野市を結ぶ第三セクター北条鉄道は旧国鉄型気動車キハ40形1両を購入することを発表しました。キハ40形は1977年デビューのアラフォー車両。長年ローカル線でコツコツ活躍してきましたが、近年は地方私鉄からのオファーが相次いでいます。キハ40形はまさに今「モテ期」を迎えたといえるかもしれません。

地方から続々とオファー殺到なキハ40形

北条鉄道はJR東日本からキハ40形1両の購入を決めました。運行開始は2022年前半とのこと。導入の背景には昨年設置した法華口駅の行き違い設備に伴う列車本数の増加や車内の混雑対策が挙げられます。

キハ40形の導入は北条鉄道にとどまりません。千葉県房総半島を走る小湊鐵道は3月29日に既存車(キハ200形)をキハ40形に置き換えることを発表。2017年には山口県を走る第三セクター錦川鉄道がキハ40形を導入しました。

残念ながらJRでは新型車両の登場により引退が進んでいるキハ40形ですが、続々と地方からオファーをもらっている状態。しばらくは全国のローカル線で雄姿が見られそうです。

キハ40形はどんな車両か

キハ40形は旧国鉄時代の1977(昭和52)年にデビュー。全国のローカル線に投入され、老朽化した気動車を次々と置き換えました。車体は旧国鉄型電車とほぼ同じ仕様になり、居住空間が大幅にアップ。一方、車両が大型化したわりにエンジンはあまりパワーアップしなかったため、ローカル線のスピードアップには貢献しませんでした。

キハ40形は両側に運転台を設置しているため、1両でも運行できます。親戚筋としては片方に運転台があり2両編成で運行できるキハ48形、通勤電車のように両開きのドアを持つキハ47形があります。

登場時の塗装は「首都圏色」と呼ばれる朱色に。JR化後は路線ごとにカラフルな塗装が登場し、ワンマン化など多種多様な改造がなされました。中にはJR西日本「ベル・モンターニュ・エ・メール(べるもんた)」のように観光列車に改造された車両もあります。

1両ワンマン列車として運行できることから、地方ローカル輸送に活躍してきましたが、新型車両の登場や老朽化により、JRからは姿を消しつつあります。 

なぜキハ40形は人気があるのか

キハ40形が注目を集める理由として1両編成で運行できる点が挙げられます。現在、北条鉄道では昼間時間帯の列車は1両編成のため、キハ40形でも同様の運行が可能です。

2点目は地方ローカル線の財政状況が挙げられます。新型車両を新造すると数億円は必要となり、コロナ禍で厳しい経営が続く地方ローカル線にとってはなかなか厳しい条件です。北条鉄道はJR東日本から250万円でキハ40形1両を譲り受けます。

3点目はキハ40形が旧国鉄型車両だということ。近年、旧国鉄型車両は「昭和レトロ」のシンボルとして鉄道ファン以外からも人気を集めています。ローカル線の牧歌的風景と旧国鉄型車両との相性は抜群。旧国鉄型車両を目玉にして、観光客に利用してもらいたい、という地方ローカル線の切実な願いが感じられます。

参考までに小湊鐡道ではキハ40形を使って夜行急行「さと山」号運行開始前ツアーが4月~5月にかけて開催されました。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まったら、キハ40形に会いに地方ローカル線へ訪れてみませんか。日本の古き良き鉄道シーンを再発見できるかもしれません。

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