2021年が始まり、早2カ月が経ちました。よくよく考えてみると、21世紀の初年にあたる2001(平成13)年から20年が経過したわけです。この20年の間はいろいろな事が起こりすぎで、2001年の出来事は思い出せないかもしれません。
ところで2001年にデビューした車両は覚えているでしょうか。「成人」を迎えた今、どのような活躍をしているのでしょうか。2001年の鉄道界を振り返った後に2001年にデビューした代表的な車両を紹介します。
2001年の鉄道の動きは?
2001年は首都圏の鉄道輸送体系が大きく変化した年といえます。2001年12月1日、東海道本線・横須賀線方面から高崎線・宇都宮線(東北本線)へ向かう湘南新宿ラインが開業しました。運行体系は東海道本線~高崎線系統と横須賀線~宇都宮線系統があり、国鉄時代に登場した211系などが活躍しました。
一方、消滅した列車では大阪~青森を結んだ最長距離特急電車「白鳥」が廃止されました。走行距離は日本海沿岸をひた走り、1000キロを超える超ロングラン。営業最終日には多くの鉄道ファンが別れを惜しみました。なお2001年に開業した新幹線はありません。
覚えていますか? 2001年にデビューした車両のこと
それでは2001年にデビューした代表的な車両を紹介します。なお2001年に営業運転を開始した車両を取り上げています。
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▽E257系(JR東日本)
E257系は国鉄型特急電車183系・189系の置き換えを目的としてデビューしました。最初に投入されたのは首都圏~山梨県・長野県を結ぶ特急「あずさ」「かいじ」でした。車体のデザインは従来の特急型電車とは大きく異なり、前面はゆるやかな曲面ガラスを採用。車内は武田菱をあしらったリクライニングシートとなりました。
E257系は増備され、房総方面の特急にも使われています。2019年には定期「あずさ」「かいじ」から退き、伊豆方面へ行く特急「踊り子」へ転勤となりました。2021年2月現在、E257系は形式別でJRグループ最多の特急型車両となっています。
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▽3000系(小田急電鉄)
小田急を走る通勤型車両において最大勢力を誇る3000系も2001年生まれです。3000系は環境、バリアフリー、低コストを重視した車両で、2019年までに計346両が製造されました。
3000系は従来の小田急の通勤型車両とは異なり、車体の裾絞りの廃止や前面に非常用扉を設けない非貫通式を採用。そのため角ばった通勤電車に仕上がっています。
車内はロングシートとなり、へこみを設けることで1人ずつ区切ったバケットシートを取り入れています。今後も小田急の通勤型車両の主力として活躍することでしょう。
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▽683系(JR西日本)
先述した通り特急「白鳥」の廃止と683系の誕生により、2001年は北陸本線にとって節目の年になりました。683系は国鉄型特急電車485系を置き換えるためにデビュー。1992(平成4)年にデビューした681系の改良版にあたる車両です。
主に関西圏~北陸間の特急「サンダーバード」、名古屋~北陸間の特急「しらさぎ」、そして越後湯沢から北陸方面へ向かった北越急行線経由の特急「はくたか」で活躍しました。
外観は681系とよく似ていますが、先頭部のライト周りのデザインや窓枠が異なっています。
683系の転機となったのは2015(平成27)年の北陸新幹線金沢開業のとき。683系の一部は交流機器の使用を停止し、289系と「名前」を変えた上で関西圏を走る「くろしお」「こうのとり」で活躍しています。683系自体はリニューアル工事を受け、現在も特急「サンダーバード」の運用に就いています。
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▽9300系(阪神電気鉄道)
「37年ぶりのクロスシート車両」で大いに話題となったのが阪神電車の9300系です。大阪梅田~姫路間を結ぶ「直通特急」の増発と老朽車両の置換のためにデビューしました。内外装と共に従来の急行系電車とは大きく異なり、筆者自身も驚きました。
塗装は上半分がオレンジ、下半分がベージュになり、現在の急行系標準塗装となっています。ちなみに、この塗装は「阪神タイガースのライバル球団と同じ塗装では……」と沿線住民の間では今でもネタにされています。
車内は両先頭車が混雑を配慮してロングシートになりましたが、中間車は転換クロスシート(一部はロングシート)を採用しました。デビュー以来「直通特急」を中心に活躍していますが、近鉄奈良方面へは乗り入れません。
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このように2001年デビューの車両はまだまだ主力級で活躍しています。今後の働きにも大いに期待しましょう!