診断「正直、ホッとした」 スケボー上達で周囲にも変化
「診断されて、正直、ホッとしたというか、救われた思いもありました。『変わっているのは発達障害のせいなんだよ』と言える。上手く説明する事が苦手だから理由を話すのが面倒くさくなり『もういい!』と感情的になるから分かってもらえない事が多く、その結果『言っても無駄だ』と学習してしまう。やる気のない時に気持ちを切り替える事も苦手だから、ダラダラしてしまったり遅刻したり、一見、さぼっているように見えたり、怠け者だと思われたりして怒られてきたけれど、障害と分かれば対処法もある。大翔が悪いわけではなかったんだ、って」。大翔さんは支援級に移り、学童も辞めて放課後デイサービスを利用するようになった。過ごしやすくなったのか、「すごく落ち着いていった」(みゆきさん)という。
スケボーも何時間も続けて練習できるようになり、4年生になると大会でも結果を残せるようになった。腕が上がるにつれ、周囲から声をかけられることが増えた。「スケボーの大会でエアーがめちゃくちゃ上手い同い年の人がいて『話したい、友達になりたい』ってすごく思って、人見知りだけど勇気を振り絞って自分から声をかけた。今はそいつと一緒に滑るのが楽しいし、一緒にやってたらどんどん上手くなれる気がする。何より一緒にいるのがラク。学校も楽しくなった」。大翔さんは照れくさそうに、そう話す。
発達障害「恥ずかしいものじゃない」
得意技のフロントロックンロールを始め、覚えた技は、50以上になった。「ボードが滑る音や、エアーの高さがたまらないし、何度も失敗してたエアに乗れたときはもうめちゃくちゃ嬉しい。学校から帰って、5時から練習に行って夜9時まで滑るけど、集中してると喉も渇かない。で、終わったらめっちゃ腹減って、ご飯を食べて、風呂入ってコテン(と寝る)。将来はやっぱりプロになりたい」と充実感を漂わせる。
3月の大会の後には、テレビの取材も受け、発達障害の子どもを持つ親から「諦めていたけど、大翔を見て勇気がわいた、子どもと向き合っていきたい。子どもが夢中になれるものを探したい」といった声が届くなど、大きな反響を呼んだ。
みゆきさんは言う。「大翔ともよく話すんです。『大翔の努力が誰かの希望になる、それはすごい事。そして、それが大翔の頑張る力にもなる』って。メディアに出ようと決めたのは、そういう気持ちからでした。発達障害の子どもたちは誤解され、怒られ続けて自己肯定感が低くなることが少なくありません。大翔の様に夢中になれるものがあって自信が持てて、褒められることが多くなればいい」
「大翔は発達障害を恥ずかしいものではなく、『ADHDなのはしょうがない、でもADHDだからって何もできないわけじゃない、発達障害なんて関係ない』と言います。それを、発達障害の当事者の子どもさんたち、親御さん、発達障害を知らない人にも、知ってもらいたいんです」