大阪城に、甲冑に身を包む一団が現れた。赤い甲冑に金の六文銭は、緑の木々に映える。何かのパフォーマンス集団かと思いきや、彼らの手には火バサミが。それを使って、園内に落ちているゴミを淡々と拾い集めながら歩く。彼らはいったい何者だろう。
「真田の赤備え隊」が復活?!
「緑が多く土の匂いがして、野鳥たちのさえずりも。こんな大阪城が大好きなんです。なぜって?好きなものに理由はありませんよ」。さらりと答えたのは、大阪城公園でゴミ拾い活動をするボランティア団体「大坂城赤備隊(あかぞなえたい)」会長の大西寧々さん。
メンバーは30人ほどで、そのうち毎月第3日曜日の清掃に10~15人が参加する。11時から約1時間半かけ、毎回少しずつ違うルートで園内のゴミを集めながら、ゴール地点の天守閣を目指す。常に「奉仕の精神」を第一に作業しているという。
参加者の多くは赤い甲冑を着る。とはいえ、もちろん普段着での参加もOKという。甲冑のアイデアは、団体が発足した2016年当時に放映されていたNHK大河ドラマ「真田丸」の影響だ。参加者の一人が真田家の赤備えを象徴する赤色の甲冑を作り、大西さんも「着たいなら、着てもいいよ」と軽いノリで了承。ところが、資料に基づいて丹念に手作りしたというその甲冑の完成度の高さに他の参加者たちも触発され、それぞれ自分で作るようになった。
「決めているのはただ一つ、赤色であること。あとは作業に支障がなければよし」
インバウンドが多かった頃は清掃の合間の写真撮影にも気軽に応じていたが、そのときも清掃第一でやってきた。
大阪を明るく元気に美しく!
コロナ禍で、ゴミは園内よりも公園の周囲を走る車道や、脇の植え込みによく捨てられているそう。「どこもそうなんです。捨てる人は、植え込みの中に隠すように捨てるんですよね」とポツリ。
大西さんは以前、別の清掃グループで大阪城周辺を掃除していたが、そのグループが解散したのを機に今の団体を立ち上げたという、いわば掃除のプロ。続ける理由は「だって、キレイになったら気持ちいいでしょう」。
今年に入り、清掃エリアを大阪城公園内から広げ、JR森ノ宮駅周辺や他の駅周辺も行うことにした。呼ばれたら、市内の商店街へも出向いて一緒に清掃する。
「甲冑の格好が、いい意味で人目を引く。路上にゴミを捨てないでという啓発になれば」との思いもあるという。
清掃以外にも、大坂の陣にまつわる歴史的イベントや子どもたちの行事、さらに障害者施設でのイベントなどへも、呼ばれれば甲冑を着て駆けつける。
「単なる盛り上げ役ではなく、赤備隊としてお役に立てるならば。ここでも奉仕の精神でやらせていただいています」
今は、もっと若者の手が欲しいという大西さん。「ぜひ一緒に『大坂城赤備隊』で活動してみませんか」
◆活動日時:毎月第3日曜日 11:00~12:30頃
◆活動場所:1,3,5,7,9,11月は大阪城。偶数月はどこかの駅に出没予定。
◆大坂城赤備隊HP http://www.redsamurai.jp/
◆Instagram:https://www.instagram.com/explore/tags/大坂城赤備隊