「夫婦ってもともと他人同士だから」自分の気持ちを相手にどう伝える? 夫婦カウンセラーが考える「いい夫婦」の定義

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みなさんは「いい夫婦」とは、どのような夫婦のことだと思いますか? 夫婦問題の課題解決型メディア・リコ活に登録する夫婦カウンセラー4名が座談会を実施。「いい夫婦」の条件や夫婦ゲンカが起こる背景などについて話し合いました。夫婦仲を円満にする秘訣はコミュニケーションにあるようで、自分の気持ちを伝えるときのポイントなど、カウンセラーらがこれまでの経験をもとに語り合いました。

夫婦カウンセラーが明かす「いい夫婦」の条件

――夫婦カウンセラーのみなさんに最初にお聞きしたいのは「いい夫婦の定義」についてです。どのようにお考えでしょうか?

渡辺:結婚すると距離が近すぎるせいか、所有物のような感覚になりがちで、甘えたり期待しすぎたり、他人にはしない言動を夫婦間でしてしまう場合もあります。

でも、夫婦ってもともと他人同士ですよね。そのことをきちんと理解し、自立した者同士で一緒に暮らしていくことが「いい夫婦」なのではないかと思います。

高草木:私の考えは「話し合える夫婦」。それって普通じゃない? と思うかもしれませんが、結婚して何年も経っていたり、平等ではなかったりする夫婦だと、相手の話を聞かず自分の気持ちをぶつけてしまう。そうすると、やはり声が大きい方が勝ってしまうんですよね。

だからお互いの話を聞き、話し合いのできる夫婦が「いい夫婦」なのかなと。

――話し合いができない「いい夫婦」は存在しない気もしますね。すみよしさんはどうでしょう?

すみよし:お二人と同じようなことなのですが、お互いを尊重し合える夫婦が理想ですよね。一方は尊重されているけど、もう一方は尊重されていないというご夫婦だとうまくいかない。

大野:コミュニケーションが足りないと夫婦は段々うまくいかなくなるのではないでしょうか。新婚の時はできていたのに、なれあいになると挨拶すらもできなくなってしまう夫婦っているんですよね。「言わなくてもわかるでしょ」と。

「愛してる」という言葉もほとんどの人が言っていないですよね。こちらが愛情を渡したとしても、相手が受け取らないということもありますし。

――日本人だと「愛してる」と口にするのはハードルが高いのかもしれません……。

大野:言えないのでなくて、おそらく言い慣れていないだけなんですよ。「おはよう」や「ありがとう」と同じで、言い続ければ何ともないことです。言わないと伝わらないですし、そういうところから絆ができていくのかなと思います。

高草木:「愛してる」はなかなか言えない(笑)。その言葉をストレートに伝えられたら、それに越したことはないですよね。

大野:「愛してる」ではなくても、「気を付けて行ってきてね」「今日も可愛いよ」とか、
それに代わる愛情を伝えられる言葉だったらいいと思うんですよね。

高草木:そういう言葉だったら言えそう、賛成です。

夫婦が避けるべきネガティブな思い込み

――長年夫婦を続けていると、ほころびが出てくるというお話がありましたが、夫婦仲を円滑にするための心構えについてもお聞きしたいです。

渡辺:大体の夫婦ゲンカは自己主張合戦なので、「相手の立場だったらどうか」と俯瞰して考える癖をつけるというか。これは訓練や習慣の一種かもしれません。

――そもそも、なぜ夫婦の仲は悪くなってしまうのでしょう?

大野:小さな嘘から信用できなくなるケースが多いような気がしますね。

高草木:信頼関係だからね。あとは、相手の言葉に対する妄想を膨らませてしまうということもよくあります。

たとえば、「それ買ったの?」と聞かれたら「そうだよ」と返せば済むところを、「何だよ、俺(私)のお金で買っちゃダメなのかよ?」とネガティブな解釈で妄想して揉めてしまう。受け取る側が悪い思い込みをしないことが大事だと思います。

大野:言葉を言葉通りに受け取れない人は「どうせ俺(私)は……」と、そもそも自己否定している傾向があるように思います。

すみよし:心配性や不安症な人は、相手に言われたことをマイナス方向に考えてしまいます。浮気だったらどうしよう……ではなく、私のためのプレゼントを探してたらどうしようと思えたらいいのに(笑)。

渡辺:浮気の心配をしていると表情が強張ってしまいますが、そういう考え方ができるとニコニコしながら帰宅した夫を迎えられそうですけどね。

IからWeへ パートナーに自分の気持ちを伝えるときのポイント

――結婚生活では自分の気持ちを伝えるシーンが多々出てくると思うのですが、その際のコツを教えてください。

高草木:基本は「私は」を主語にするI(アイ)メッセージだよね。

すみよし:私もそう思う。Iメッセージにポジティブな言葉を乗せて伝える。

高草木:バトルしてしまう夫婦は、「あなたがこうだからいけない」「あなたはこうでしょ」というYouメッセージになっていて、そういう話し方ではどうしてもキツくなりやすいです。

すみよし:「俺(私)が悪いのかよ」というふうに、キツく受け取られやすいですよね。

高草木:Iメッセージは「私はこう思うよ、だからこうした方がいいと思うんだよね」というような伝え方。そうすると誰も悪くないんだよね。

渡辺:私もよくクライアントさんに「自分の思いを伝えるだけでいい。あとは相手の問題だから相手に委ねた方がいい」と話しています。「だからあなたはこうしてね」というメッセージは伝えなくていいんです。

大野:先を期待してしまうんですよね。「こう言ったからこうしてくれるんじゃないか」という思いが強いと、どうしても腹が立ったり悲しくなったりイライラしたりしてしまう。

Iメッセージを伝えた後、「私たちはどうしていこうか」というWeメッセージまで話して終結できるといいのかなと。

高草木:それが一番理想的だよね。

すみよし:それで相手が行動を変えてくれたら「ありがとう」を伝える。

渡辺:私たちカウンセラー同士で話す時は、夫婦はライバルではなく「チーム」だと考えますよね。

高草木:そうそう、家族や夫婦ってチームなんだよね。敵だと思うからバトルが始まるわけであって、まず仲間であり味方であるということから意識をしないと。

大野:夫婦でマウントを取り合ってもね(笑)。

 ◇   ◇

◆高草木 陽光(たかくさき・はるみ)夫婦カウンセラー/「リコ活」専門家
これまで9,000人以上のカウンセリングを行い、夫婦問題・家族問題で悩む人を解決に導くお手伝いをする夫婦カウンセラー。美容師、育毛カウンセラーを経て、結婚して専業主婦となるが、夫の束縛や価値観の押し付けに違和感を覚え「結婚生活とは何か」ということを深く考え始める。書籍に「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」(左右社)、「心が折れそうな夫のためのモラハラ妻解決BOOK」(左右社)、メディア実績にNHK総合「あさイチ」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、テレビ朝日「羽鳥慎一 モーニュングショー」、「ABEMA Prime」などがある。

◆渡辺里佳(わたなべ・りか)夫婦カウンセラー/「リコ活」専門家
30代半ばで離婚を経験し、子どもたちが成人する頃に「夫婦関係や離婚に悩む人の助けになりたい」「人の役に立ちたい」という想いが膨らみ、2011年、夫婦問題研究家・岡野あつこ主宰の「離婚カウンセラー養成スクール」に通学。 夫婦問題に特化したカウンセリングを学び、同年9月「離婚カウンセラー」資格を取得、52歳でカウンセラーに。
心理を深く学ぶため、日本プロカウンセリング協会認定「心理カウンセラー2級」資格を取得。現在、法務省認証の民間調停機関「家族のためのADRセンター」主催の「パパとママの離婚講座」の講師を担当。ライター、エディターとしても活動している。

◆すみよしひさこ 夫婦カウンセラー/「リコ活」専門家
子どもの成人を待って48歳で熟年離婚を経験。結婚前はピアノ調律師、結婚や出産を経て専業主婦ののちに医療事務の勉強、いくつかのクリニックと精神科クリニックでも受付と医療事務の仕事を経験。2年ほど生命保険のセールスレディも経験。2011年に夫婦問題に特化したカウンセリングの勉強をして夫婦問題相談室「リカプル」を開業。2015年からは匿名電話相談サイトでの専門カウンセラーとしての仕事も開始、さまざまなお悩みのご相談もお受けして経験を積んでいる。

◆大野まり子(おおの・まりこ) 夫婦カウンセラー/「リコ活」専門家
2013年~現在 夫婦問題カウンセラー、ファイナンシャルプランナー(AFP)として活動中。2012年 弁護士をつけずに調停離婚を経験。2013年 NPO法人日本家族問題相談連盟認定離婚カウンセラー資格取得「さいたま夫婦問題カウンセリングセンター」運営 。2019年 2級ファイナンシャルプランニング技能士/AFP資格取得。2020年 夫婦のご縁とお金の円をトータルサポートする「オフィスえん」設立。埼玉県男女共同参画推進センターにて県共催事業で「後悔しないための離婚講座」セミナー主催、家族のためのADRセンター離婚テラスにて「パパとママの離婚講座」講師、他講師実績多数。

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「リコ活」は、夫婦問題の課題解決型メディアです。夫婦関係のトラブルや離婚で悩む人に、専門家とのマッチングの場を提供するとともに、家族のカタチが多様化する時代にあわせた最新情報を発信しています。

▽離婚、夫婦問題の課題解決型メディア「リコ活」
https://ricokatsu.com/

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