「三角比はやっとけ」学生時代に大工さんからかけられた言葉…ハーバード大学博士研究員の回想が話題に

中将 タカノリ 中将 タカノリ

「三角比はやっとけ」

学生時代、電車でたまたま隣に座った大工のおじさんに三角比の大切さを説かれたというエピソードがSNS上で大きな注目を集めている。このエピソードを投稿したのは生物学者でハーバード大学博士研究員の佐々木浩さん(@popeetheclown)。

単に"ガテン系"と思われがちな大工だが、たしかに大工仕事の中には三角比や関数など数学知識が不可欠なものが多い。おじさんは学校で学んだことが社会に出て役に立つということを身をもって実感していたのだ。

佐々木さんのこのエピソードに対しSNSユーザー達からは

「測量会社でアルバイト中、傾斜地の断面計るときに使いました なーんだ、こう使うのか、高校数学でも、具体的な事例挙げておしえてくれりゃー良いのに と思ったもんです」

「服飾専門学校に行ったので、サーキュラースカートの計算をするのに円周率は必須でした」

「ぼくは漫画を描いてたので、宇宙から見た地球の大きさを知りたかったんですけど、読んでた本に運良く『星の半径÷星の中心からの距離=sin星の視半径』という式が載ってた後は、自分でも計算出来るようになりました」

「小生も『ベルヌーイの定理なんて、一生使わねぇよ!』とか思ってたんですが、要る時が来た時にはクリビツテンギョーでした」

「皆んなが使うコピー機。A4→A3に拡大すると141%ですが、元は『ヒトヨヒトヨニヒトミゴロ』から来ていることに気づいたのは、自分が画材屋に入ってからでした」

…など数々の共感のコメントが寄せられている。

佐々木さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):おじさんから話しかけられた当時のご感想をお聞かせください。

佐々木:およそ20年前、私が高校2年生だった時の話です。京王線に乗って新宿に向かっているときに、座って数学の問題集を開いて勉強していたら、隣に座っていた男性に話しかけられた、というものでした。
50代くらいで体格がよく、少し強面の男性でした。はっきりと格好は覚えていないのですが、作業着のような服を着ていた気がします。大工だと聞いて納得するような人でした。
「おっ、兄ちゃん勉強してるのか?」と急に話しかけられたのでびっくりしましたが、こちらを気にせずまくしたてるおじさんの話を新宿に着くまでの間、聞いていました。実はピラミッドを作った古代エジプト人は三角比を理解していただろうという話は知っていたのですが、今も大工の人が日常的に使っているという話はリアリティがあって新鮮でした。

中将:今振り返ってこのエピソードやおじさんに対してどのようにお感じでしょうか?

佐々木:私は今、新しい顕微鏡技術を開発して細胞の謎を解き明かす研究をしているのですが、三角関数はデータの解析に欠かせないものになっています。実は高校生当時の私は数学が大の苦手だったのですが、おじさんの言う通り苦手なりにサイン・コサインの勉強をしていたことが今に役立っています。

中将:ご投稿に対し数々の共感のコメントが寄せられました。今回の反響へのご感想をお聞かせください。

佐々木:ファッションデザイナーから船乗り、漫画家の方まで、様々な職業の方から、サイン・コサインを日常的に使っている、いまになって急に必要になったという反響がありました。学校で学ぶことのすべてを、大人になってから使うわけではないとしても、いつ何が役に立つかはわからないということを改めて実感しました。そして、この話題でみんなが盛り上がれるのも、多くの人がサイン・コサインを学んだことがあるからこそだと思います。

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【佐々木浩さん関連情報】
▽Twitterアカウント
https://twitter.com/popeetheclown

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「学校で学ぶことのすべてを大人になってから使うわけではないとしても、いつ何が役に立つかはわかりません。そして三角関数だけでなく、古文や漢文など学校で学んだ色んなことが本やマンガ、音楽、映画を楽しむときに効いてくると思います」と佐々木さん。

学生時代はなかなか楽しいと思えない勉学だが、いったん得た知識はけっしてその人を裏切らない。筆者も「あのとき勉強しておけばなー」と思う事だらけなので、学生の方にはぜひ今ある学びの環境を大切にしていただきたいと思う。

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