気になるのが指導員のお給料だが。
「年収で300万ちょっとです。ボーナスも雀の涙。沖縄県の給与水準が高くないという事情もありますが、業界の中でも低めかもしれません」
新しく資格を取得すると、資格手当としてプラスアルファがつくそうだ。
指導員をやっていて「やりがい」を感じるのは、どんなときだろう。
「上手にできなかった生徒が、できるようになっていくのを手伝えたときです。生徒の顔が本当に良い表情になるんです」
逆に苦労を感じるのは、とくに繁忙期の拘束時間が長くなること。朝から晩まで仕事だけの毎日になってしまい、それを嫌って辞めてしまう職員もいるそうだ。
ドローンの教習をやっている自動車教習所もある
指導員の立場から、教習所を選ぶポイントを聞いてみた。
「立地、料金面、休校日、送迎の有無、建物のきれいさなどを総合的に判断して、自分に合う教習所を選ぶといいでしょう。ネットで検索すると、地域の教習所を紹介する比較サイトがあると思います」
教習所へ通う際に、いちばん気になるのが指導員との相性だが。
「たいていの教習所では、怖いと感じたり人として合わないと思ったりしたら、指導員の拒否設定ができるはずですから相談してみてください」
Sさんは、これからの「教習所像」についても語ってくれた。
「指定教習所の卒業生を全国レベルでみると、平成元年には250万人いました。令和元年は150万人に減っています。一方で教習所の数は1468から1258に減りました。卒業生の減り方からみて教習所の減り方が緩やかなのは、高齢者講習が始まったからだと思われます」
あくまで統計上の数字なので、業界全体の勢いが弱くなっているわけではないともいう。制作会社と共同で学科コンテンツをつくったり、教習生用の娯楽施設をつくったり、あるいはドローンの教習を始めた教習所もあるという。また指導方法でも、上手くできたところを拾い上げてほめちぎることで満足度を上げるなど、それぞれに企業努力が為されているようだ。
「今後、確実に直面する大きな課題は、自動運転です。現状維持では衰退しますから、各教習所の底力が試される時代になると思います」
Sさんが個人的に取り組んでいるのは、運転技能や学科を分かりやすく解説する動画「現役教官ちゃんねる」のYouTube配信だ。
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▽現役教官ちゃんねる
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