世帯年収500万円で子ども2人を持つことはできるのか…。といった疑問を抱えているママは多いものです。子ども1人あたり、大学卒業までにかかる教育費用は1000万円以上と言われてることもあり、世帯年収をかんがみて2人目の子供を産むことに躊躇しているケースは珍しくありません。そこで、現役ファイナンシャルプランナー(FP)の伊東さんに、世帯年収500万円で子供2人を持つことは可能なのか…について伺ってみました。
世帯年収500万円で子ども2人は持てる!
伊東さんにお話を伺うと、開口一番、こんな心強い回答をいただきました。
「結論からいうと世帯年収500万円で子ども2人を持つことは可能です。仮に手取り年収が400万円であった場合、1カ月に使えるお金はおよそ33万円。一般家庭であれば生活費だけで1カ月33万円を超えることは、あまりないと思われます。生活そのものは問題なくできる場合が多いです」
…つまり「生活費」のみに着目して考えるのであれば、世帯年収500万円で子ども2人を持つことは十分可能とのことです。
ただし、上記はあくまでも「貯金は考慮しない」ということになります。
「家庭の生活水準によっては『家計がプラマイゼロ』ということも考えられ、その場合は将来の教育費を考えると、やや心許ないのが正直なところでしょう。計画的に貯蓄を進めていく方法を考える必要があると思います」(伊東さん)
貯金にまわせるお金は、どこに住んでいるかで大きく異なる
貯金にまわせるお金は、住んでいる場所が地方なのか、都市部なのかで、大きく異なってきます。
「特に『都内住み』は家賃が高いですし、仮にマイホームを購入するにしても、土地代などが地方と比べて高額ですので、毎月家計を大きく圧迫する恐れがあります」(伊東さん)
実際、地方と都内とで、同条件の賃貸物件を探してみると月々の家賃は数万円~10万円近くの差があるケースが多いもの。マイホームを購入する場合も同様に金銭的に大きな差があります。
「とはいえ、都内住みでは全く貯金ができないというわけではありません。例えば、スマホ代などの固定費をどれくらい抑えられるか、冠婚葬祭の頻度はどれくらいか、食費やレジャー費はどの程度まで抑えられるかなど、家庭の状況次第で都内でも十分貯金にお金をまわすことはできます」(伊東さん)
また、「夫婦のお小遣い」「外食の頻度」「水道光熱費」なども、いかに抑えられるかで貯金の額は左右されるといえるでしょう。
世帯年収500万円で子ども2人持つ注意点
一方で、貯金の目的を「子どもの教育費」に絞ってしまうと、自分たちの老後生活に支障が生じてしまうリスクがある、と伊東さんは言います。
「実は、子供の教育費のために貯金したものの、自分たちのためのお金が全くないといったケースは珍しくないのです。子供が自立してから、再び0からの貯金をスタートするとなると、現役で働き続けられる時間もわずかとなりますので、『子供のためと、夫婦のため』の貯金を同時進行で進める必要があります」
確かに、仮に子どもが自立したとき夫婦の年齢が50歳をオーバーしていたら、働けるまでの残りの期間は10年前後です。現在、法改正で定年が65歳まで引き上げることが計画されていますが、それを視野に入れてもプラス5年しか働ける期間が延びません。
「ただ、今は『児童手当』『医療費助成制度』など、金銭面がカバーされる制度が進んでいますので、無理な節約をしなくても計画的に貯金しやすいといえます。実際、児童手当を一切使わずに丸ごと貯金に回しているというご家庭は多く見かけます。子どもの教育費は児童手当+収入の一部を回し、老後のための貯金を収入の一部から(数千円でも)まわすことができれば、数十年後にはある程度まとまったお金が手元に残ることになります」(伊東さん)
近年は、毎月支給される児童手当や、子供の医療費の負担がゼロになる医療費助成制度などが設けられていますので、無理をしなくても貯金はしやすいのではないか、というのが伊東さんの意見です。
筆者自身も、毎月支給される児童手当には一切手を付けず、ずっと貯金にまわしてきましたので、児童動手当だけでも現時点で100万円近い貯金となっています。
世帯年収500万円で子供2人は難しくない!
今回、FPに相談してみることで「世帯年収500万円でも子ども2人は難しくない」ということが分かりました。もちろん、さらなる高収入の家庭と比べたら「金銭的な余裕」の面では差があるでしょう。しかし、工夫や制度の利用次第で十分不満のない生活は送れそうです。
金銭面を理由に子供を諦めるのではなく、子供2人を持つためにできることを考えたほうが、家族にとってより良い選択になるかもしれません。