目覚めると気持ちが悪いと感じたり、歯磨き前や朝食時にえずいたり、出かける前に吐き気がしたり.....。そんな人は少なくありません。原因はストレスや消化器官の不調、自律神経の不調、あるいは、喫煙や食事習慣に問題があるのかもしれません。ひと口に朝の「えずき(むかつき)」といっても原因はさまざまです。その原因と対処法について考えてみました。
消化器官の不調かも?
思わず「オエッ」となってしまう原因は、飲み過ぎや食べ過ぎによる胃の疲れや胃酸過多といった一過性で起こっている場合もあれば、消化器官の疾患によることも考えられます。これからの季節は食中毒やウイルス感染症が引き起こすケースも出てきます。心筋梗塞や脳腫瘍など別の病気が原因のこともあります。しっかり見極めることが重要です。
①暴飲暴食が原因なら
飲み過ぎや食べ過ぎ、あるいは脂っこいモノのとり過ぎは胃に負担がかかります。消化器官の不調による朝の吐き気は食事のとり方が原因となっている場合が多いと思われます。就寝前に食事をすると逆流性食道炎を起こす原因にもなります。気をつけましょう。
◇対処法は?
暴飲暴食で胃などが不調な時はヨーグルトなどをとって胃の粘膜を保護するのもいいかもしれません。飲み過ぎで気持ちが悪い時は、タンパク質をとるとアルコールの分解作用が促され、吐き気やむかつきが軽減されることもあります。
②胃酸過多が原因なら
胃酸の分泌が過剰になると、胃酸が食道に逆流します。その結果、胃のむかつきや胸焼けなどといった症状が出てきます。胃酸過多によって胃粘膜が傷つくと「逆流性食道炎」をはじめ「胃炎」「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」などを引き起こすかもしれませんので、要注意です。
◇対処法は?
脂っこい食事やアルコール、喫煙などはなるべく控え、胃酸過多にならないように改善することが重要です。症状が軽い場合は市販の胃酸の分泌を押さえる薬で、出過ぎた胃酸を中和するのもいいでしょう。日常的にむかつきなどの症状があれば、消化器内科などを受診することをお勧めします。
③食中毒やウイルス性胃腸炎が原因なら
急性の吐き気やむかつきなら食中毒やウイルス性胃腸炎などの疑いもあります。細菌やウイルスによって強い吐き気や激しい嘔吐を引き起こしているようなら要注意。発熱や下痢を伴うケースも少なくありません。
◇対処法は?
自宅で安静にして、水分補給を行いましょう。水を飲んでもすぐに吐く場合や尿が出ない場合は脱水症状の危険性もあり、すぐに病院へ。また熱や下痢がひどい場合も医師の指示を仰ぎましょう。
④慢性的な吐き気が気になる場合は
慢性的に吐き気がある場合は「逆流性食道炎」や「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」などの疾患が考えられます。また吐き気だけでなく、腹痛を伴う場合は「腸閉塞」などかもしれません。この他、別の病気が潜んでいるかもしれません。
◇対処法は?
気になる症状があれば、検査を受けてみてください。
自律神経の不調かも?
私たちの体内には無数の神経がありますが、なかでも内臓や代謝、体温などの機能をコントロールしているのが「自律神経」です。24時間稼働していますが、体内時計のリズムが乱れると、自律神経は正常な働きができなくなります。
①「自律神経失調症」が原因なら
朝起きると吐き気や胃腸に不快感を感じるという人の中には、自律神経失調症が原因の人も少なくありません。主な要因は「ストレス」と「生活や生活リズムの乱れ」です。
◇対処法は?
ストレスをためないようにし、規則正しい生活を心がけましょう。
ストレスによる不調かも
休日は症状がなく、たとえば、仕事や学校のある日などに朝起きると気持ち悪い…という人は、もしかして「ストレスによる不調」かもしれません。
①「心因性嘔吐」が原因なら
ストレスが朝の吐き気に影響している可能性が考えられる場合は「心因性嘔吐」とも呼ばれています。吐くといった症状がなくても、吐き気だけを繰り返す症状がみられれば「心因性嘔吐」の可能性が考えられます。
◇対処法は?
ストレスが起因している場合は、内科的な治療や薬物療法だけでは解決が困難です。まずは、原因が何なのかをはっきりさせることが大切です。
「えずく」「気持ちが悪い」「吐き気がする」とひと口に言っても、その原因は本当にさまざまです。たかが吐き気ととらえないでください。その裏には重大な疾患などが潜んでいる場合があります。どんな病気も早期発見が大切です。気になれば、医師に相談しましょう。