昨春より新型コロナウイルスの感染が拡大し、1年以上が経過した現在もいまだ終息する気配なく、目には見えないウイルスとの闘いは続いています。
こうした状況を踏まえ、テレワークやライブ配信などオンライン化が急速に進んでいます。しかしオンライン化が進む中、いま実家を離れて一人暮らしをしている大学生の孤立化が深刻なものとなっています。
今回取材を受けてくれたのは神奈川県在住の大学生Nさん(10代・女性)です。Nさんは現在、大学2年生です。昨春、大学進学を機に実家を離れ神奈川県で一人暮らしをはじめました。昨年は大学の入学式が中止となり、対面授業はすべてオンライン授業やレポート提出となり、大学のキャンパスに行くことさえもできていません。
先の見えない不安…一時は実家に帰ったことも
Nさんは一旦は神奈川県に引っ越ししたものの、大学に通学することができないことや神奈川県の感染状況を鑑み、大学での対面授業が再開されるまで地元に戻ることとしました。これまで思い描いていた大学生活とは、かけ離れた新生活のスタートとなってしまったのです。
「いつ大学に行くことができるのか…」
そんな先の見えない不安がNさんを襲いました。
実家に戻りオンライン授業を受けていましたが、大学から9月より段階的に対面授業が開始されると連絡があり、Nさんは8月末に神奈川に戻りました。
オンライン授業が続く中、段々と孤立していく現状
対面授業が再開されることに期待を抱いたNさんでしたが、感染状況がやや落ち着いたと安堵する間もなくまたしても感染者が増加しました。それに伴い、予定されていた対面授業はすべて中止となり、オンライン授業がそのまま継続となりました。
若者の感染増加が懸念されていることもあり、この「若者」が多く集まる大学の対応は慎重にならざる得ないという状況もわかってはいるのですが、Nさんは友人を作ることもままならない状況下において、知り合いもいない場所で徐々に孤立していったのです。
自分でも「このままでは精神的に不安定になる」と思ったNさんは、人と会話したい・対面で接したいとアルバイトをすることにしました。また、両親もコロナ禍の影響で収入が減ったこともあり、少しでも生活費の足しになればとアルバイトをはじめたのです。
飲食店でアルバイトをはじめたNさんでしたが、時短営業の影響により1カ月に数日しかアルバイトに入ることができませんでした。
大学での活動に関する矛盾
現在Nさんが在学している大学では月に3~4回ほど対面授業があり、その他はオンライン授業が行われています。しかし優秀な成績を収めている部活やサークルなどは毎日のように練習や活動をしているのです。
学校の授業は部活と比べ学生の人数は多くなりますが、感染しやすい環境を授業と部活で比較すれば部活の方が感染リスクは高くなるのではないか…。
こうしたことに矛盾を感じることもあると話してくれました。
Nさんは部活に入っていないこともあり、大学に入学してから新しい友達とキャンパスライフやプライベートを一緒に楽しむこともできていません。長い月日の中で段々と「自分は一人なんだ」と心が沈み大学に在学する意味を見い出せないと感じることもあるそうです。
感染防止対策として推奨されるオンライン化…しかしいいことばかりではありません。人とのつながりの少なさに悩む若者が多数いることを、社会問題として捉え、改善に取り組んでいかなければいけないと、Nさんの話を聞いて強く感じました。