「最大9割引!?」格安の秘密は、通販の返品や過剰在庫 食品や服の大幅値引き販売に注目

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最大9割引きで衣料品を販売するリンネ。コロナ禍で衣料品メーカーからの在庫引き取りの依頼が急増した(京都市中京区)
最大9割引きで衣料品を販売するリンネ。コロナ禍で衣料品メーカーからの在庫引き取りの依頼が急増した(京都市中京区)

 新型コロナウイルスの影響による「巣ごもり需要」は、インターネット通販の急拡大や衣料品の販売不振をもたらした。その裏側で、大量に発生する廃棄(ロス)削減に取り組む小売り店が京都や滋賀で注目を集めている。共通のキーワードは「もったいない」だ。

 ラベルの金額からレジにて半額―。購買意欲をくすぐるポップが店内に掲示されているのは、ディスカウント店「222(トリプルツー)」。格安の理由は、インターネット通販で返品された商品を多く扱っているからだ。アウトレット事業を行ってきた「ガットリベロ」(栗東市)が京都・滋賀を中心に6店を展開している。

 「包装の段ボールがへこんでいる」「サイズが合わなかった」。同社によると、ネット通販の返品理由はさまざまだ。商品によってはすり替えの懸念も拭えず、店側は再検品や再包装の手間を避けてそのまま廃棄処分するケースが少なくないという。

 ガットリベロは、本来なら処分される商品を1カ月で5万~7万点ほど仕入れ、全て小売価格の半額以下で販売する。賞味期限が近づいている食材も引き受けている。酒や医薬品の販売免許が必要なもの以外、衣類、食品、雑貨、家電と、総合スーパーのような品ぞろえを誇る。

 国内の2019年の消費者向けEC(電子商取引)化率は金額ベースで6・76%。新型コロナウイルスの感染拡大で2020年以降は一層の伸びが予想される半面、返品による廃棄も増えそうだ。

 荒木伸也社長は「まだ価値のある商品でも『訳あり』ならすぐ捨てられるのが現状。過剰なロスという社会課題の解決に少しでも貢献したい」と話す。

 京都市中京区の寺町京極商店街にある衣料品店「Re:nne(リンネ)」は、コロナ禍の影響などでアパレルメーカーに積み上がった過剰在庫を引き取り、1000種類以上を最大9割引きで販売する。衣料品の卸売・販売サイトを運営する「ウィファブリック」(大阪市)による初の路面店として2月上旬にオープンした。

 同社は、メーカーの在庫を引き取って個人バイヤーに仲介するサイト「スマセル」を運営する。リンネは2階建てで売り場は約130平方メートル。スマセルの商品を扱う実店舗として、時計販売店などを手掛けるエスピービー(名古屋市)と共同で開業した。

 アパレル業界では、季節ごとに新作を大量制作しては廃棄する商習慣が問題視されてきた。コロナ禍で小売店の集客難が深刻化し、メーカー側に積み上がった在庫処理が喫緊の課題になっている。

 そのため、ウィファブリックにも問い合わせが急増。所有するブランド数がコロナ禍前の10倍以上に当たる1100ブランドに増えたという。同社は「大量廃棄が前提のアパレルはコロナ禍で行き詰まっている。ファッションの持続可能性を探りたい」(福屋剛社長)とする。

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