「雅楽川」この名字、読めますか? 雅楽をつかさどる古代の役所の長官の呼び方がルーツ

日本の難読名字

森岡 浩 森岡 浩

「雅楽川」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。

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古代の律令制では、朝廷に雅楽寮(ががくりょう)という役所があった。治部省に属し、雅楽・楽人などのことをつかさどり、歌舞を教習した。この雅楽寮を「うたりょう」ともいい、その長官は雅楽頭で「うたのかみ」という。

平安時代以降は次第にすたれ、大歌所 (おおうたどころ) と楽所 (がくしょ) がその機能を代行していたが、「雅楽頭」という役職名は長く使われた。

徳川家譜代の重臣である酒井家には2つの流れがあり、片方を雅楽頭家、もう片方を左衛門尉家という。この雅楽頭家という名称は当主が雅楽頭を名乗ったからだ。また、幕末の長州藩家老には長井雅楽(ながい・うた)という人物がいるなど、「雅楽」と書いて「うた」と読むのは当時は常識だったようだ。

福島県の会津地方には「歌川」という名字が多い。その一部が分家して際に漢字を変え、「うた」の部分に「雅楽」という漢字をあてたものだろう。現在はとくに西会津町に集中している。

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