人生の半分以上を共にした愛猫を失い、途方に暮れる日々。そんな暗闇を手探りで進むような日常を救ってくれたのは、1匹の野良猫との出会いでした。今年1月、ハチワレ猫の「ハッチャン」を保護したThreadsユーザー・ハッチャンさん(@hacchan888koensodachi)。まもなく、「家に閉じ込めることが幸せなのか」と自問自答する日々が訪れます。そんな飼い主さんの気持ちに寄り添ったのは、SNSに寄せられた声でした。
警戒心の強い野良猫との出会い
2023年7月、愛猫を虹の橋へ見送り、「猫がそばにいない日々がこんなにも寂しいなんて。途方に暮れました」と語る飼い主さん。そうして3カ月ほど、なすすべもなく時を過ごしていたとき、突然、新たな出会いが訪れました。
「公園で思いがけず、ハッチャンと出会ったんです。当時、推定1歳ほど。人間を寄せ付けず、手を出すと強烈なパンチをして噛みつく子でした」
あるとき、おやつをあげようとすると強烈なパンチが。その力強さは、おやつが約2メートル吹き飛ぶほどだったといいます。
「長い木の枝や落ち葉で一緒に遊んでは、パンチされたり噛みつかれたり…。それでも少しずつ距離が縮まって、ある日を境に突然、甘えてくれるようになったんです」
本来は甘えん坊の素顔を持っていたハッチャン。飼い主さんに心を開いたのと同時に、地域でTNR活動をする人たちに対しても穏やかに接するようになり、心なしか表情も柔らかくなっていったといいます。
「ハッチャンは人懐っこくなり、公園を訪れる人たちにとってアイドルのような存在になっていきました。それと同時に、ハッチャンの変化が私との距離が縮まったことによるものだと見守ってくれていた方から、『こんなに懐いているのだから、お迎えしたら?』と言っていただくようになったんです」
1年半の「時間薬」—保護を決意するまで
長年、猫と暮らしてきた飼い主さんにとって、再び猫と暮らすことはとても自然な流れでした。しかし当時の飼い主さんは、自分が思っている以上に、愛猫を亡くした悲しみを引きずっていることに気づいたといいます。
「ハッチャンのことはかわいい。こんなに仲良くなれたのだからお迎えしたい。その一方で、亡くなった愛猫のことを思うとまだ胸が痛み、新たに別の猫を迎え入れることに迷いがありました」
そんな葛藤を抱きつつも、ハッチャンへの思いは募っていきました。1年半ほどの時間をかけて、時間薬はゆっくりと、そして確実に飼い主さんの心の痛みを和らげてくれたのです。
「今年に入ってまもなく、ハッチャンを保護しようと決意が固まりました。キャリーケースを持って公園へ行くと、いつもはある程度にぎわっている公園に、ハッチャンだけがぽつんといたんです」
飼い主さんはキャリーケースをそっと地面に置きました。そしてハッチャンに声をかけると—、なんの躊躇もなく、すぐに近くまで来てくれたといいます。
「キャリーケースの中にご飯を置くと、迷うことなく中に入ってくれました。その間、わずか3分ほど。拍子抜けしてしまうほどスムーズに保護することができました」
飼い主さんは急いで家路へ。キャリーケースの重みを感じながら、「ついに保護した。これから家での暮らしに慣れてくれるといいな。でもそうでなかったら…」と、さまざまな思いが胸にこみ上げてきました。
3日3晩の飲まず食わず—「保護は正しかったのか」
時間をかけて距離を縮めたハッチャンと飼い主さん。だからこそ、すんなりと保護できたのかもしれません。しかし、家にもすぐ慣れてくれるだろうと思っていた飼い主さんは、帰宅後すぐにその考えが甘かったことを思い知らされたといいます。
「ハッチャンをケージに移すと、ぴくりとも動こうとせず、人が近づくと唸り声を上げて威嚇しました。ご飯をあげようとしても、ケージが崩壊するのではないかと思うほど大暴れ……怖くてたまらなかったんだと思います。長らく公園で暮らしていたのに、突然キャリーケースに閉じ込められて、知らない場所に連れてこられたのですから」
数日経っても、ハッチャンはご飯に口をつけず、ケージの中で固まったままでした。そんな姿を見て、飼い主さんは「なんてひどいことをしてしまったんだろう」と後悔の念にさいなまれます。
「公園で自由に生きていたのに、こんな狭いケージに閉じ込めてしまった。間違った行動をしてしまったんだと思い始めたんです。ハッチャンのお世話を手伝ってくれていた母も、いたたまれず『かわいそう』と泣いてしまいました」
3日3晩、飲まず食わず、ほとんど動くこともなく、眠る様子もない—。そんな日々が始まったのです。