のこぎりで夫殺害容疑…76歳妻はなぜ使い難い凶器を選択?自宅リフォームに「決意の表れか」 小川泰平氏が解説

小川 泰平 小川 泰平
夫殺害の現場となった容疑者の自宅=神奈川県茅ケ崎市内(撮影・小川泰平)
夫殺害の現場となった容疑者の自宅=神奈川県茅ケ崎市内(撮影・小川泰平)

 83歳の夫をのこぎりで切り付けて殺害したとして、神奈川県警は3月6日、殺人容疑で同県茅ケ崎市の無職丸洋子容疑者(76)を逮捕した。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は8日、現場を取材し、当サイトに対して、丸容疑者が自宅庭の木を切ったり、壁を塗り替えるなど身辺をきれいにしていたことに「何かを決意した表れではないか」という見解を示し、さらに、のこぎりという凶器を使った経緯が動機とつながる可能性も指摘した。

 丸容疑者は5日午前11時ごろ、茅ヶ崎市の自宅で夫の寿雄さんの上半身に馬乗りになり、首をのこぎりで切って殺害した疑い。犯行後、丸容疑者が別の場所に住む長女に連絡し、長女に促されて自分で110番通報した。捜査関係者によると、丸容疑者は馬乗りになった状態で、夫が亡くなっていく様子を2時間ほど見ていたという趣旨の供述をし、動機については「暴力や家にお金を入れないなど長年の恨みがあった」と話しているという。

 小川氏は「容疑者に明確な殺意があったのか、その動機について、この2点に対して警察の捜査が進められると思います」とし、「のどぼとけを切ったことによる殺人…とは一概に言えません。というのは、捜査関係者の話によると、それほど大量の血痕があったわけではなかった。しかも、2時間も胸の上に乗っていたということで、死因が胸部圧迫の可能性もあり得る。あるいは、出血死か、そこのところは司法解剖の結果が出るまで判明しません」と指摘した。

 その上で、小川氏は被害者の体調に注目。「ご近所の人の話によると、被害者の寿雄さんは体格的にもがっちりして大きな体だったとのことでした。犯行は午前11時に行われ、昼前になっても1階で寝ていたということですので、体調が悪かったという可能性も考えられます。ご近所の方で、ここ数か月、寿雄さんの姿を見ている人は誰もいませんでした。容疑者は小柄だったということで、いくらのこぎりを持っているとはいえ、体に乗って簡単に殺害できるのかなという疑問もあります。そういったことを考えると、体調を壊して寝込んでいた被害者に対して犯行に及んで可能性もある」と推測した。

 また、同氏は「殺害をする凶器にのこぎりを使用している点も不可解である。自宅にあるものなら包丁等があるわけだが、殺害には使い難いのこぎりを使った経緯が動機とつながる可能性があるのではないか」と推測した。

 さらに、小川氏は丸容疑者が身辺をきれいにしていたことを指摘。「(事件現場となった夫妻の住む家の)庭の木がきれいに切ってあったんです。切株の切り方など、つい最近、切ったような跡でした。また、自宅の壁も新しく塗られていた。まだ塗りたてで間がない感じです。そうやって、夫婦で住んでいる自宅を急にリフォームしているということを考えると、容疑者がある程度、何かを決意していたという表れではないかと、私は現場に来て思いました。本人は『自首しようと思っていた』ということですし」。容疑者が身辺をきれにいする心理について、同氏は「過去にも例があるが、自分自身が犯行を行う前に、身辺をきれいにしてから及ぶこともある」と解説した。

 小川氏は「いずれにしても、頸部をのこぎりで切ったことが直接の死因になるか、約2時間も胸に乗っていたことによる圧迫死なのか、被害者がもともと衰弱していたことによる衰弱死なのか、司法解剖である程度、明らかになると思います」と付け加えた。

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