「くしゃみをしてても、花粉症だニャン!」…萩の「猫寺」が作った“笑える”バッジが話題 モデルは寺の看板猫

西松 宏 西松 宏
花粉症バッジ。ちょっと大きめでユーモラスなイラストが目を引く
花粉症バッジ。ちょっと大きめでユーモラスなイラストが目を引く

 「猫寺」として知られる臨済宗雲林寺(山口県萩市)の角田慈成住職(50)、妻の覚子さん(43)が1月に製作した「花粉症バッジ」が人気を集めている。イラストは飼い猫をモチーフにしたユニークなデザイン。コロナ禍でマスク生活が当たり前となる中、花粉症に苦しむ人たちからは「こんなのを待っていた」と好評だ。また、3月3日の耳の日には、マスクで口元や表情が読み取れず、コミュニケーションに困っている聴覚障害者のための「ちょっと便利シールセット」も無料配布する予定だ。

 花粉症バッジは縦7.5センチ、横5センチ。やや大きめのサイズなので、カバンやジャケットの胸などに付けるとよく目立つ。製作のきっかけは「花粉症に悩む40代女性からの1本の電話だった」と角田住職は振り返る。

 「その方は鼻水とくしゃみの症状で苦しんでおられるそうで、『マスクをしていても、くしゃみを何度もすると周囲の人たちの視線が冷たく感じられる。花粉症であることをアピールできるものがあれば嬉しい』とのことでした。そこで、以前から猫関連のグッズなどを作ってきたこともあり、花粉症バッジを作ってみようと」

 妻の覚子さんがデザインを担当。4匹の飼い猫のうちの1匹で、参拝者の間で人気の看板猫「アウアウ」(オス、推定5歳)をモチーフに、「寺の前にある大きな杉の木の下で暮らす猫と犬が、花粉症で困っている様子」を、ユーモラスなタッチで描いた。

 「すでに花粉症のバッジはいろんな種類のものが売られていますが、目に入ったとき、心の中でクスッと笑ってもらえるようなイラストを心がけました」と角田住職。250個つくり、1月29日から1個200円で販売を開始すると「こんなのを待っていた」「助かった」などの感想が届いたという。冒頭の女性も購入。カバンなど人からよく見える所につけ「周囲の目を気にせず買い物ができるようになった」と喜んでいたそうだ。

 同寺には聴覚障害者もよく参拝に訪れる。「聴覚に障害がある方々から『マスク越しだと相手の表情や唇の動きが読めず、買い物のたびコミュニケーションに困っている』との話を聞き、花粉症だけでなく、聴覚障害者のために何か役立てることはないかと。そこで、どういうものがあったらいいか関係者らに聞いて回ったところ、『スーパーやコンビニで買い物をするときに、パッと出してすぐ意思表示ができるシールがあったら便利』とのことで、『ちょっと便利シールセット』を作りました」(角田住職)。

 シールは、レジ袋がいるかいらないか、(弁当などを)温めるか温めないか、マスクごしの会話が困難であるという意思表示、前述した花粉症バッジの絵柄など6種類が一枚のシート(シール1枚は縦5センチ、横3.5センチ)に。あらかじめ台紙などに貼っておき、見せて使う。こちらもアウアウをモチーフにしたユーモラスな猫のイラストが目を引く。2千枚つくり、3月3日の耳の日、県内外の聴覚障害者や支援団体、手話サークルなどに無料配布する予定だ。「マスクをしていても互いに笑顔になれる。そんなコミュニケーションツールの一つになれば」と角田住職はほほえむ。

 同寺は、毛利輝元の家臣の愛猫が主を追って命を絶った「萩の猫伝説」が残る天樹院(萩市)の末寺。「猫寺」として知られ、境内や本堂内には、猫の涅槃像や招き猫など、猫にまつわるものが多数展示されている。猫好きの観光客をはじめ、愛猫供養に訪れる人も後を絶たない。感染防止のため、昨年3月4日から本堂への入場を中止しており、現在は境内のみ拝観可能だ。

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