SNS上で自転車横断帯が大きな話題となっている。
自転車横断帯とは横断歩道に併設されることのある自転車用の横断スペース。しかし、近年この自転車横断帯が全国的に姿を消しつつあるというのだ。
話題のきっかけは高校生のTwitterユーザー「かざくる」さん(@kazyakuruma)の投稿。
自転車横断帯はあくまで撤去の方針というだけで、実際は廃止されたわけではないのだが、その減少を指摘したかざくるさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「自分の家の近くの横断歩道は自転車横断帯はあったけど2、3年前に塗りつぶされてました」
「これ守ってる人見た事ないw 街中で安全に自転車乗ってる人が記憶上見た事ないw ちなみに家の目の前の交差点にまだある(薄れてる)」
「道路の設計してます。左折巻き込みや交差点のコンパクト化で事故の削減が期待されるため撤去が進められていますが廃止はしていません。必要であれば設置することも、かすれた白線を引き直す事もありますよー。」
など数々のコメントが寄せられている。
今回のご投稿についてかざくるさんにお話をうかがった。
中将タカノリ(以下「中将」):今回のご投稿のきっかけをお聞かせください
かざくる:以前から道路に興味があり、最近自転車横断帯が減ってきたなと感じて何気なく投稿しました。写真は近所の交差点で撮影しました。自転車横断帯がかすれてほとんど見えない場所や撤去された場所が多く、近所で残っているのはそこぐらいだと思います。
中将:自動車横断帯が現在も残っている意義についてどうお考えになりますか?
かざくる:近年、自転車レーンの整備が進んだことで自転車が車道を走ることが増えた場所ではスムーズな通行を妨げる原因になっています。しかし、歩行者と自転車の横断を明確に分けるという意味では安全な通行に有効だと思います。場所によって的確な自転車横断帯の整備・撤去が進んで欲しいです。
中将:ご投稿に対し、さまざまなコメントが寄せられていますが、今回の反響へのご感想をお聞かせください
かざくる:本当に何気なく投稿したものが反響を呼んで驚いています!投稿自体が正確な情報ではないので、リプライなどを参考に正しい情報を得て、自転車横断帯について考えるきっかけになればと思います。
◇ ◇
引き続き、自転車横断帯の現状について調査を進めたところ兵庫県警察のホームページ上に「自転車横断帯の撤去」というページを見つけた。兵庫県内の事情について兵庫県警、交通規制課のご担当者にお話をうかがった。
中将:兵庫県内で自転車横断帯の撤去が始まったのはいつからでしょうか?
担当者:平成23年の10月25日に警察庁から「良好な自転車交通秩序の実現に向けた自転車通行環境の整備について」という通達が出ているんですね。これを受けまして平成24年度から兵庫県でも必要のない自転車横断帯の撤去を始めています。
中将:あくまで"必要のないもの"を撤去されているということですね。自転車横断帯の撤去は全国的な方針ととらえて良いのでしょうか?
担当者:警察庁の通達に基づいて行っておりますので、各都道府県の細かな事情までは把握していませんが全国的に進められていることは確かです。
中将:自転車横断帯の撤去が始まった理由をお聞かせください。
担当者:自転車で車道を通行していても、自転車横断帯がある交差点にさしかかると自転車横断帯を通行しなければいけません。この通行方法は、交差点を直進する自転車が、一旦左折するようにして自転車横断帯に入るため、不自然かつ不合理であり、場合によっては左折しようとする自動車と交錯するなどの危険な状況が生じていることから、現在設置している自転車横断帯の撤去を進めています。
中将:残存している自転車横断帯にはまだ法的な効力があるのでしょうか?
担当者:効力があります。
◇ ◇
撤去の進む自転車横断帯だが、その法的な効力はまだ失われておらず、従わねば「道路交通法第六十三の六」違反に問われてしまうようだ。もちろん白線がかすれていても効力に変わりはないので、自転車を運転される方はくれぐれもご用心いただきたい。
【参考】
兵庫県警「自転車横断帯の撤去」
https://www.police.pref.hyogo.lg.jp/traffic/bicycle/tekkyo/index.htm