朝9時記帳で予約完了、1300円で焼きたてハンバーグ3連発!…今話題のお店「挽肉と米」5つの“人気の秘密”

北村 泰介 北村 泰介

 ハンバーグとごはんに特化した超人気店が東京・吉祥寺にある。「挽きたて、焼きたて、炊きたて」がコンセプトの炭火焼きハンバーグと炊きたてごはん専門店「挽肉と米」。昨年6月1日のオープン以来、コロナ禍の中でも客足が途絶えることはない。同店の「5つの要素」について、運営する「株式会社 挽肉と米」の山本昇平氏に話を聞いた。

【1・朝9時に昼夜まとめて記帳で予約完了】

 JR吉祥寺駅北口から徒歩5分。昼夜の部とも「受付は終了しました」の表示板が早々に置かれている。開店まもなくから、昼夜の営業前に受付していたが、秋から朝9時に統一された。

 「昼のオープン前に70〜80人が並ぶようになり、記帳の時間を少しずつ早めた結果、現在の朝9時になりました。夜の部の記帳も午後3時からでしたが、こちらも同様で、全て朝イチからお受けしようと。ウェブ予約だと近隣のお客様にとって入れないお店になってしまうので、現状はアナログで、お名前を直接ペンで書くというスタイルにしています。ご不便かける来店方式ですが、記帳した人はほぼ来てくださり、リピーターの割合も増えました」

 【2・時間的距離】

 半円形カウンターの中には焼き場と大きな排気ダクトがある。スタッフは来店客に注視されながら、小ぶりのハンバーグを炭火で焼き、食べ頃で目の前に置いてくれる。まさに「ライブ」だ。その絶妙な距離感は物理的な距離ではなく「時間的距離」なのだという。

 「今年6月で17年目に入る僕たちの『山本のハンバーグ』という店にはサイドメニューもあるのですが、『挽肉と米』はシンプルな対極のお店であり、カウンターの中で焼くのは見せるためというよりも、焼きたての素材を提供するためで、今の距離が必要だった。その結果、見えるわけです。焼きたての瞬間のおいしさをベストな状態で切り取って届けるための時間的距離ですね」

【3・コスパとバリエーション】

 券売機で食券を購入した。「挽肉と米 定食」は炭火焼きハンバーグ(1個90グラム、3個まで)、釜炊きご飯(おかわり自由)、味噌汁で税込1300円。さらに生卵1個無料、6種の薬味や「食べる醤油」など調味料も充実している。

 この日の米は、新潟・佐渡産のコシヒカリ。後方の釜から炊きたての香りが漂う。粒立つ白米に最初はハンバーグだけを乗せて肉汁をしみ込ませた。平らげると、2つ目の追いハンバーグが目の前に。2膳目ごはんに乗せ、今度は自家製ポン酢と鬼おろしをかける。さっぱりした味を楽しみつつ、薬味も試した。遊牧民が肉に付けていた香辛料「モウさんの麻辣辣粉」でエスニックな味に変身。ラスト3膳目はハンバーグに生卵、食べる醤油、麻辣辣粉を加え、カオスかつディープな味で昇天した。

 シンプルなのにフルコースのようなバリエーション。約30分で完食。1300円で得られる多幸感。コスパの良さを実感した「30分三本勝負」だった。

 「ハンバーグを大きく1つポンと出すと、最初はいいのですが、食べているうちに冷めてしまって、僕たちが提供したいものとは違うものになってしまう。なので、小さめに切り分けたものを、お客様の食べるペースに合わせて順番に焼いていく。焼きたてで食べていただくための工夫です。ただ、同じものを3回食べてもつまらないので、薬味をご用意させていただいています」

【4・若い女性客】

 昨年末に下見した時は20席中、女性が17人。2月の取材時は女性が14人。隣席の若い女性3人から「ほんと、この時間、待ったかいがあったね」「超うまい」「やばい」と、朝の記帳から9時間後にたどり着いた感無量の声が続いた。

 「ターゲットを女性に絞ったわけではなく、口コミの連鎖で店が認知されていくことを目指し、その結果、SNSを活用される世代として、高校生、大学生、社会人でも20代前半の方に情報が拡散し、その層が多いということです。現状は女性の方が多く、年代も若い人に限られていますが、今後、全世代的な認知が高まるともう少し客層は変わって来るかなという感じはしています」

【5・飲食店で食べるということ】

 コロナ禍の中でも、テイクアウトや通販は行っていない。

 「できたての提供が僕たちの商品。テイクアウトにすると違ってしまうので、しないという判断です。飲食店で食べることに価値がある。テイクアウトはサービス業という側面に立てば当然いいものなのですが、僕たちとしては、お店という環境の中で食べて得られる感動をしっかり提供していくことで、足を運ぶ楽しさ、飲食店の魅力をより発見してもらえるようになればと思っています」

 挽肉にこだわる。「高級ではない、隅っこの部位をおいしく食べようと工夫してできたのがハンバーグ。挽肉は世界各国の大衆的な食文化に深く入り込んだ食材なので、日本文化の米と共に世界に発信していけたら」。外食、それはエンターテインメントだと実感させられた。

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