スマホの1分充電ができればいいなぁ…大電流なら可能なのか 京大教授が説明

京大・安部教授/科学よもやま話

安部 武志 安部 武志
スマホが早く充電できればいいのに…みなさん思ったことありますよね(onephoto/stock.adobe.com)
スマホが早く充電できればいいのに…みなさん思ったことありますよね(onephoto/stock.adobe.com)

 さて、電流掛ける時間。これが電池の容量の単位です。たとえば、2Ah(アンペアアワー)の容量。これは1Aの電流で、2時間使えるという意味になります。逆に言えば、1Aの電流を流せば、2時間で充電できるということになります。

 最近のスマホには詳しくないですが、スマホの容量は2から3Ahが多いと思います。面倒なので、いま2Ahの電池を積んだスマホがあるとしましょう。これを1時間で充電するのは2アンペア要ります。0・5時間の充電。つまり、30分なら4アンペアが必要です。10分なら12アンペアになりますよね。では、1分。120アンペアです。家庭の電源は最大15アンペアなので、1分充電は家庭では無理なんです。

 そしたら、大電流を流せる充電スタンドでスマホを1分充電できるのか?それだけの電流を流すには太いケーブルが必要で、それをスマホで受け入れることができるとします。そうすると数字上は可能なのですが、実際はほとんど充電できません。

 電池を使うとき(放電)も充電するときも化学反応が電池の中では起こっています。電池を使い切ると、中に入れたプラス極とマイナス極の物質が、それぞれ違う物質に変わります。これを外からエネルギーを与えて元に戻すのが充電ですが、ほぼ完璧に元通りにしないといけないので、これがなかなか難しい。なので、充電はゆっくりするのが良いのです。もっとも、そうも言ってられないので、頑張って早く充電できるように電池会社の方々が日々頑張っておられます。

 もう一度戻って、電気ウナギ。リチウムイオン電池は4V近い電圧を出すので、ほかの電池と比べて、エネルギー密度が高いのですが、電気ウナギは500V以上出ます。体内でどうやって、こんな高電圧を作ることができるのか?これは結構面白いですが、この話は長くなるのでまた今度。

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