多くの人を魅了する宝石。ダイヤモンドから始まり様々なものがありますよね。宝石を化学的にみてみましょう。ダイヤモンドはどこにでもある炭素ですね。鉛筆の芯も炭素です。無茶苦茶高温にして高圧にすると、鉛筆の芯の黒鉛がダイヤモンドになったりします。ルビーは酸化アルミニウムにクロムという元素を少しいれたものです。酸化アルミニウムは酸素とアルミニウムからできてますので、これらもありふれた元素です。
なんでこんなものに大金を払うのか?こう書いてしまうと身も蓋(ふた)もないですね。ところで、最近、よく耳にするレアアースとレアメタル。これらは文字通り希少ですので、政治の道具としても使われています。
さて、レアアースとレアメタルの違いは分かりますか?レアアースは日本語では希土類元素でランタン、セリウム、イットリビウム等、17種類の元素を指します。セリウムは自動車の排ガスをクリーンにするための触媒材料で、ランタンはニッケル水素電池のマイナス極の材料である水素吸蔵合金に使われています。強力な磁石を作るときにもレアアースは外せません。
次にレアメタル。これはもう少し広い意味で、希少な金属を指します。白金(プラチナ)は典型例ですね。貴金属として指輪などに使われますが、僕らの分野では燃料電池に絶対に必要な材料です。燃料電池のコストが下がらない理由の一つで、なんとか白金の使用量を減らせないかという研究開発が行われています。
スマホや電気自動車に使われているリチウムイオン電池ではプラス極にコバルト、ニッケル、マンガン等の元素を使いますが、これらもレアメタルです。電気自動車の普及が進みますと、大量のリチウムイオン電池が必要になってきます。リチウムだけではなく、これらのレアメタルも大量に使われますので、リサイクルが重要になってきます。
レアメタルに替わる材料開発も世界中で行われています。令和の間にレアメタル代替の新材料がいくつ見つかるでしょうか?