たった長さ180m余り!?「日本一短い国道」が神戸に…起点から終点まで「一目」で見渡せちゃいます

小嶋 あきら 小嶋 あきら

 日本全国を縦横に網羅している「国道」。たとえば東京と大阪を結ぶ国道1号線、大阪から西へ、北九州市門司区まで延びる国道2号線、さらに九州を縦に抜ける国道3号線。このような特に一桁の番号を持つ国道は、まさに日本の大動脈です。中でも東京・青森間836kmを結ぶ国道4号線、京都と下関を繋ぐ全長784kmの国道9号線、さらにはそのほとんどが海の上ながら、鹿児島から沖縄に至る日本最長884kmの国道58号線など、壮大な規模の国道はそれだけでなにか旅のロマンをかき立てますよね。

 しかし一方でそれらとは真逆の、ほとんど嘘のように短い国道もたくさんあります。なかでも神戸港を起点にした国道174号線は総延長180m余り、日本で一番短い国道です。

散歩するにも短すぎる国道174号線

 神戸から宮崎へ向かう宮崎カーフェリー、小豆島や高松へ向かうジャンボフェリー。これらのフェリーターミナルのある新港第3突堤から北へ向かうと、最初の大きな交差点に「日本で一番短い国道です」という看板が立っています。国道174号線のおにぎりマークと、187.1mという文字も書かれています。そのまま進むと国道2号線バイパスの高架と阪神高速神戸線をくぐって、すぐ先に国道2号線の交差点があります。ここが国道174号線の終点です。

 「国道の起点から終点を歩き通した」というとなんとなく偉業を達成した気分になれそうですが、実際には地下鉄御堂筋線のホームを端まで歩いた程度の距離です。散歩と言うにも申し訳ないような、そんな近さ。なんでまたここがわざわざ国道なのか、日本の国はここを国道としてなんでわざわざ管理しているのか、というとても当たり前の疑問が湧いてきますよね。

なんでこんな国道が生まれたのでしょう?

 そもそも「国道」というと「国が管理する道路」と思われがちですが、実は国道というのは「日本において国が政令で指定した道路の総称」という意味でしかありません。必ずしも国が管理しているわけではないのですね。しかしそれにしても国はこの短い路線を「国道174号線です」とわざわざ「政令で指定した」わけですから、それはしっかり由緒正しい国道であって、指定されるだけの重要な役割を持った道路なのです。

 いま現在の日本の国道は、昭和27年に道路法が改正されたことによって誕生しました。当初は「国土を縦貫し、横断し、又は循環して全国的な幹線道路網の枢要部分を構成し、かつ、都道府県庁所在地などを連絡する道路」としての「一級国道」と、それを補助して全国を網羅し、なおかつ条件を満たす「二級国道」に分けられていました。

 その「条件」の中に「港湾法で特に規定された港又は建設大臣が指定する重要な飛行場若しくは国際観光上重要な地と一級国道とを連絡する道路」というのがあって、それに従って「神戸港と一級国道(国道2号線)とを連絡する道路」として昭和28年にこの道路が国道174号線に指定された、というわけです。

 実はこういう経緯で指定された港と主要国道を結ぶ国道はいくつかあって、その性質上短いものも多く、総称して「港国道」と呼ばれたりしています。

 なお、「一級国道」「二級国道」という分類は昭和40年の道路法改正で廃止されました。

一目で見きれる国道。ちょっと話の種になりますね

 国道174号線が指定された当時、国道2号線はいまの場所ではなくJR三ノ宮駅の真南を通っていましたので、総延長は940mほどありました。それでも充分に短かったのですが、昭和37年に国道2号線がいまのルートに切り替わったことで、北側の区間が国道から外れてこのような200メートルに満たない国道が誕生したのですね。

 全長は短いもののこの国道174号線、神戸の中心地とポートアイランド、ハーバーハイウェイ、阪神高速京橋入口などを繋いでますので交通量はかなり多く、上下線合わせて11車線もある広い道です。普段特に意識することもなく通過されている方も多いのではないでしょうか。

 たぶん全国で他になかなか無い「起点から終点まで一目で見ることができる国道」です。ちょっとした話の種に、ぜひ。

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