コロナ禍で仕事が欲しかった!誇大広告に協力したライターの後悔…娘の一言に誓ったこと

長岡 杏果 長岡 杏果

コロナ禍でサービス業を中心に仕事が減っています。今後も多くの失業者が出ると予想されており、それはライターをしている私も例外ではありません。私の場合フリーランスという不安定な立場である上に、シングルマザーなので子どもを養わなくてはなりません。そんななか、同業の友人のひとりは、先の見えない不安を抱え、いまでも後悔していることがあるといいます。体験を寄せてもらいました。

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在宅ライターも仕事が減った

緊急事態宣言が出された月。私は契約している連載の仕事が急に減りました。理由は私が飲食店専属のブログライターだったからです。コロナ禍の影響により飲食店の売上が激減し、ブログも閉鎖に追い込まれました。

こうした影響を受けたライターは私の周りでも多く、フリーランスが利用できる貸付・給付金の申し込みをしている人もいました。

私は他の契約先との仕事でなんとか生活できる報酬は得ていましたが、このままの状態ではまずいと思い、クラウドサービスで仕事を探してみることにしました。そこで魅力的な思わぬ仕事を発見したのです。

採用してくれたのは「YouTube動画のコマーシャル作成」の仕事

YouTubeでは動画再生の途中によくコマーシャルが流れます。募集していた仕事は「ダイエットサプリメントのコマーシャルで使用する台本を作ってほしい」というものでした。

報酬も高額な上、納期も自分の都合で決められるとありました。契約先の担当者からも「あなたの経歴やスキルを生かして、ぜひ弊社に協力してもらいたい」 と言われ、仕事が欲しかった私はすぐに契約を結びました。

「台本の内容はこちらの指示を基にストーリー仕立てで仕上げてほしい」と依頼されました。その後、担当者から送られてきた指示内容は驚くようなものばかりだったのです。

「太っている女性は悪いもの、存在してはいけないもの、といった内容にしてほしい」

「太っているため恋人や友達もできないというストーリーも入れて」

「サプリメントを飲んだ途端、トイレで5kgの宿便が出たという内容を入れて」

「痩せる確率はほぼ100%、40歳を過ぎていても20kgは痩せられると入れて欲しい」など。

テレビコマーシャルでは考えられないような過激な演出、太った女性への偏見、誇大広告の見本のような内容でした。

しかし契約を結んだ以上、途中で投げ出すわけにはいきません。私は指示書に従って、太っている女性を否定し、実際の効果が疑わしい痩せるサプリメントの台本を書きました。それから約1カ月後、効能効果偽造の可能性があるコマーシャル映像が完成しました。

娘の一言でさらに後悔

私は効能効果偽造のコマーシャル作りに協力したという後悔から、今回の仕事のことを高校生の娘に打ち明けました。すると娘が友達の話をしてくれたのです。

友人のAちゃんは自分が毛深いことを悩んでいたとのこと。ある日、YouTubeの動画内で肌がツルツルになるというコマーシャルを見て、すぐに商品を購入したそうです。

しかし実際に使ったところ肌荒れを起こし皮膚科に通院する羽目に。さらにその商品は定期購入する必要があり、解約できないまま2万円を払い続けたそうです。

「そういう友達がいるんだよ!お母さんはそういう被害者の人のお金をもらうことになるんだよ」

娘の言葉に、私は詐欺まがいの仕事をしてしまったのだと改めて後悔しました。

コロナ禍でも怪しい仕事には飛びつかないこと

YouTube動画の仕事はそれ以降すべて断っています。動画内で流れる広告が悪いとはいいませんが、私が請け負った広告は虚偽に近く、太った人への偏見も助長させる内容でした。

実際に完成したコマーシャルがYouTubeで流れているところは見たことがありませんが、いまだにあの誇大広告のせいで誰かが騙されているかもしれないと思うと、ただただ反省するしかありません。

私はコロナ禍で精神的に追い詰められ、目先のお金欲しさに今回のような仕事に飛びついてしまいました。いまではそのことを後悔し、正しい内容を伝えていける仕事だけを選び、コツコツ働くようにしています。

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