「ジビエ食べ放題」で害獣駆除と一石二鳥 運営側「全国初では」の大出血キャンペーン

山本 智行 山本 智行

 新型コロナウイルスの感染拡大でジビエ業界にも逆風が吹く中、三重県伊勢市のテーマパーク「伊勢忍者キングダム」では1人前2480円の超低価格で食べ放題を実施し、温浴までついてくる太っ腹なキャンペーンを12日からスタートさせる。山の薬と呼ばれるシカやイノシシの肉を通常価格の3分の1程度で提供し、獣害対策にもつなげる一石二鳥の試みだ。

 採算度外視とも言えるキャンペーンだ。シカやイノシシをすき鍋などにして超低価格で食べ放題に。しかも温浴付き。ジビエの食べ放題は珍しく、運営側は「全国初では」と話し「ほとんど利益がないですよ」と言う。

 ジビエとは狩猟で得た野生鳥獣の食肉を意味する言葉(フランス語)で、ヨーロッパでは貴族の伝統料理として古くから発展してきた。自分の領地内で狩猟した動物の尊い生命を奪う代わりに肉から内臓、骨、血液など全てを余すことなく料理に使い、生命に感謝を捧げようという精神が流れている。

 もちろん、山や野原を駆け巡ったシカやイノシシなどのジビエは「低脂肪高タンパク」の健康食材。まさに森からの贈り物と言っていい。

 一方で国としても野生のシカやイノシシが農地を荒らす被害が深刻化したのを受け、2014年からジビエの流通を促進。消費することで鳥獣被害防止と農村の所得向上に一定の成果を上げてきた。

 しかし、コロナ禍により、ジビエを扱う料理店の来客が減り、捕獲しても売れないことから取引が停滞し、猟師の生計が悪化。最終的には害獣が増え、このままでは農地の荒れにつながる悪循環になってしまう。

 そんな中、伊勢忍者キングダムでは現代人にはなじみが薄くなっているジビエを再び健康食として普及させようというプロジェクトを立ち上げており、今回は社会貢献の一環としてギアを一段アップ。食べ放題+温浴キャンペーンを展開することにした。

 となると肝心なのは料理の味だ。大役を任された糸井政和料理長(57)は和食の世界で40年のベテラン。ジビエをおいしく食べてもらうために試行錯誤を重ね、その肉質からイノシシはしゃぶしゃぶとすき鍋、シカはすき鍋のみに落ち着いたという。

 「シカ肉は淡泊なので調理法が難しかった。コロナの影響で1人鍋にするという決め事もあり、最終的にはすき鍋にし、味を濃いめにしました。ただスライスの機械を使わず、僕は包丁を使って手で切っている。そうすると肉が縮まらないんですよ」

 食べ放題の期間は12月12、13日と18~29日まで。会場は伊勢忍者キングダムのメインダイニング(合戦大食事処)となる。

 「三重県を中心に遠くは大分県などを含め、ジビエの入手ルートを確保し、保存もマイナス1度から2度で鮮度を保ちます。獣害対策ももちろんありますが、それよりも栄養価が高くておいしいジビエを一人でも多くの人に味わってもらいたい。お客さんの反応が楽しみです」と糸井さんは話す。

 メニューをこの時期にぴったりの鍋料理に限定したのもそのため。また美味しい調理法を啓蒙するために「鍋レシピ動画」も作成し、SNSやホームページで拡散するという。ジビエと温浴で健康パワーをたっぷりといただこう。

伊勢忍者キングダム https://www.ise-jokamachi.jp/

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