昨今、「救急車内」など、救急現場をスマホ等で撮影してSNSに投稿する行為が問題となっている。
先日、三重県志摩市消防本部が運営する公式X(旧Twitter)アカウント、志摩市消防本部【公式】(@shimashobo119)が、「救急現場での撮影について」という注意喚起の動画を投稿。
「救急現場において、スマートフォン等による撮影行為が見受けられることがあります。救急現場での撮影は個人情報の漏洩や、救急隊の活動の支障となる恐れがあります。誰もが安心して救急車を利用できるよう、撮影自粛にご協力をお願いいたします」
そんなメッセージと共に投稿された動画では、志摩市消防本部の職員の方々が役者となり、実際に現場で遭遇した「救急現場でスマホで撮影する人物」の姿を再現。
担架で運ばれていく「傷病者」をニヤニヤしながらスマホで撮影するその友人たち。なんと担架の上の「傷病者」もダブルピースだ。
さらに救急車内では、救急隊員の制止を無視し、ポーズを決める「傷病者」とそれを撮影する友人。
志摩市消防本部・志摩消防署によると、全国の救急現場等でこういった撮影行為が見受けられることが職員の間で話題となり、注意喚起のための再現動画を作成することになったという。
「動画の通り、実際の現場でもこういった撮影行為が見受けられた場合、隊員が『危ないのでやめてください』と直接注意を行っています。多くの場合は中止していただけますが、緊迫した現場では、注意に時間を割くこと自体が、救命活動への影響となり得ることを懸念しております。また、事案によっては注意を無視してSNSに投稿するなど、現場対応だけでは防ぎきれないことが課題となっています」(志摩市消防本部・志摩消防署)
「映え」や「野次馬」が発生しやすい状況とは?
実は、救急現場に携わる職員の方々の実感として、こういった問題行為が特に発生しやすい状況があるという。
「『若年層』『飲酒が絡む場』『大人数(グループ)』といった状況下では、集団心理やSNSへの投稿(映え)を優先するあまり、不適切な撮影行為が起こりやすい傾向にあると危惧しております。 また現場では、動画にあるような『友人』による撮影の他、当事者・関係者による自撮りなど、撮影の多様化も問題になっています」(志摩市消防本部・志摩消防署)
こういった「当事者・関係者による撮影の多様化」の具体例として、以下の事案が発生しているそうだ。
①思い出・記録:『独り身の友人の最後の記録を残したい』といった動機で処置中にカメラを向けるケース
②報告・説明:遠方の親戚に状況を伝えるためとして、高度な処置(特定行為)の最中に動画を撮影するケース
③SNS投稿目的:軽症の傷病者本人が、車内や隊員を撮影し、事後にSNSへ投稿するケース
傷病者の尊厳を傷つけ、プライバシーを著しく侵害する行為
「救急現場での撮影は、搬送される方の尊厳を傷つけるだけでなく、守られるべきプライバシーを著しく侵害する行為です。救急車内は、患者さんの安全とプライバシーが確保されるべき場所であることをご理解ください。
志摩市消防本部では、日本語だけでなく、英語、中国語、韓国語、ベトナム語、タイ語、フランス語、スペイン語の多言語で『撮影禁止』の案内を作成し、広く協力を求めています。
誰もが安心して救急車を利用できるよう、撮影自粛のご協力をお願いいたします。現場に居合わせた際は、カメラを向けるのではなく、救急隊がスムーズに活動できるよう温かく見守り、場所を空けるなどの配慮をいただけますと幸いです」(志摩市消防本部・志摩消防署)
志摩市消防本部が投稿した注意喚起の「再現動画」に対し、多くの反響が寄せられた。