味は美味しいのだが、殻をむいたり身をほじったりと口に運ぶまでが大変めんどくさいエビ、貝類。おまけに汁の飛び散りにも気を配らなくてはならず、大勢で食べていてもついつい無言になってしまったという経験はないだろうか?
今、関西ではそんなエビ、貝類の沈黙効果をフル活用したあるメニューが注目を浴びている。その名も「沈黙のナポリタン」。
殻付きロブスターにエビ、サザエ、アサリ、シジミなどめんどくさい食材がこれでもかとあしらわれており、これを食べる人はみな沈黙してしまうといういわくつきのメニューだ。
しかし、なぜ食べる人をわざわざ沈黙させるようなメニューが開発されたのだろうか?その謎を明かすため、僕は釣りタレントの釣女ちゃこ(ちょうじょ ちゃこ)を伴い阪急西宮北口駅からほど近くにある老舗洋食レストラン「土筆苑(つくしえん)」を訪れた。
「沈黙のナポリタン」を考案した大谷シェフは語る。
「きっかけは新型コロナウイルスです。うちでも4月中旬から5月末までテイクアウト、通販のみの営業を強いられ、通常営業が始まった今でも感染予防対策に試行錯誤しています。政府が発表した『新しい生活様式』にも『料理に集中、おしゃべりは控えめに』という項目がありましたが、土筆苑としてもお客さまに対してあくまでユニークに『コロナ感染予防に取り組みましょう』と伝えられるようにと思って考案したのがこの『沈黙のナポリタン』です。
『沈黙のナポリタン』はいったんナポリタンスパゲッティーを作り、エビ、貝類を白ワインとトマトソースでペスカトーレのようにしたソースをその上にかけるという贅沢な内容です。
美味しさには自信がありますがとにかく食べるのがめんどくさい(笑)。シジミなんて普通こういう料理に使いませんからね。自分でも試食してみましたが、とてもおしゃべりなんてしている余裕はありませんでしたよ。」
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そう「沈黙のナポリタン」は新型コロナウイルスの感染予防を呼びかけるために考案されたメニューだったのだ。確かにユニークな善い発想だし、なにより目の前にしたそれは間違いなく美味しそう……。
「沈黙のナポリタン」を試食したちゃこの感想は?
「ナポリタン自体も濃厚で美味しいんですが、その上に海鮮の風味が合わさって、これまで経験したことのないような豊かな味わいでした。
まずは白ワインを飲みながらエビや貝をやっつけて、それからスパゲッティーをいただくのが私のおススメです。ボリュームがあるので2、3人でシェアするのもいいと思います。
ソースが服に飛んでしまうかもしれないので、特にロブスターやサザエの身を殻から外す時は気を抜けません。
これは誰でも無口になって食べざるを得ないメニューですね……。もちろん美味しくって会話を忘れちゃうっていうのもあるんですが。」
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現在「沈黙のナポリタン」は調理があまりに面倒ということで、前日までの要予約、ディナータイムのみ1日5食限定で提供。しかも7月31日までの期間限定!わずか1,800円(税別)なのにこの上なく美味しく、かつ沈黙を楽しめる逸品なので、ご興味のある方はぜひお店にお問い合わせいただきたい。
「洋食とワインのお店 土筆苑」
住所:兵庫県西宮市高松町11-2
電話:0798-65-3366
営業:ランチ11時~15時、ディナー17時~22時 ※月曜休
席数:34席
撮影モデル……釣女ちゃこ (河野ちあき)
音楽事務所LAZY ART所属。
2006年、ボーカルユニット「沢田組」としてデビュー。グループ解散後はソロシンガー、タレントとして活動。2011年以降は趣味の釣りを活かし“釣女ちゃこ”として釣りタレントとしても活動を展開している。現在釣り番組「ルアルアチャンネル」(サンテレビ、テレビ神奈川等)にレギュラー出演中。