天下一品社長が明かす今の「こってり」注文率 昔は「あっさり」食べにくい風潮…客層広げた戦略とは

京都新聞社 京都新聞社

 京都発祥の中華そば専門チェーン店「天下一品」が脚光を浴びている。9月には名物の「こってり」と「あっさり」「屋台の味」に続く第4の味として「味噌(みそ)ラーメン」を発売した。運営する天下一品グループの木村一仁社長に、新型コロナウイルス感染が広がる状況下、店舗運営や今後の戦略をこってり聞いた。

 ―コロナ禍からの回復ペースは。

 「10月の売上高は昨年同月比で約8割に戻っている。それだけ天下一品がお客様から支持されていた。感染拡大時、店は休業や時短営業を余儀なくされたが、持ち帰り商品の『家麺(いえめん)』のオンライン販売がものすごく好調だった。よほど食べたかったのかと改めて思った」

 ―味噌ラーメンが話題を集めた。

 「天下一品は、こってりのイメージがある。家族や友達連れのグループの場合、誰かがこってりを食べられないと、外食の選択肢から外されてしまうとの問題意識があった。おかげで味噌ラーメンは好評で、店が回らないくらい売れた。今までこってりだったが『味噌もありや』と言ってもらえている」

 ―そもそも、こってりは来店客の何割が注文するのか。

 「7割くらいだ。屋台の味やあっさりを注文する人も増えてきている。昔は、天下一品であっさりを食べたら、『何食べてんねん!』みたいな風潮があった。今では、有名芸能人もテレビであっさりの魅力を話してくれるなど、こってり以外の人気が高まっている。半世紀近く営業してきて、リピーターの高齢化もあると思う。こってりはライスに合う。だから天下一品はサイドメニューが豊富。ラーメンだけ食べて帰る人は他のラーメン屋よりも少ないのではないか」

 ―今後の店舗展開は。

 「天下一品はリピーターの方が多いが、これからは新規のお客さまを獲得していかないといけない。関西では天下一品の名前は知られているが、関東ではまだまだ知名度を上げられる」

 「京都や大阪は店舗数が多く、出せるところも限られる。お客さまの期待値は天下一品はすごく高い。来年1年間で20店舗のオープンを目標にし、出店していく。その上で将来的には欧米や東南アジアなどの海外でも展開していきたい」

◆きむら・かずひと 2010年に天下一品グループ入社。天下一品総本店、唐崎店、グループ人事部長を経て、18年6月から現職。京都市出身。33歳。

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