千葉県銚子市のローカル鉄道として知られる銚子電気鉄道。今、SNS上ではその銚子電気鉄道が制作した映画「電車を止めるな!」のタイトルやイメージビジュアルが何かに似ていると秘かな注目を集めている。
この映画はいったい何を目的に、どういった思いで制作されたのだろうか?銚子電気鉄道の柏木亮常務にお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):率直にうかがいますが…この映画は何かのパク…いや、パロディー作品なのでしょうか?
柏木:いえいえ!おっしゃりたいことはわかりますが、内容は全然違いますしパロディーとかではないんです。ただ、ある映画が少ない制作費で大きな利益を上げられたことについてはあやかりたいと思っております。
中将:鉄道会社さんが映画を制作されるに至ったきっかけは何だったのでしょうか?
柏木:元々は変電所の修繕費を捻出するために始まった企画なんです。耐用年数が20年くらいのところをだましだまし40年使っていたのですが、とうとう限界が来てしまいまして…。
それでクラウドファンディングで500万円を調達し、売上で修繕費を補うべく映画を制作させていただきました。
中将:鉄道会社としての存続がかかった企画だったんですね!修繕費はおいくらほど必要なのでしょうか?
柏木:2億円ほどです。
中将:2億!相当ヒットさせないといけませんね…。ちなみに「電車を止めるな!」は原作の小説もあるようですが、どのようなストーリーなのでしょうか?
柏木:廃線寸前の鉄道会社が企画した「心霊電車」企画で本当に心霊現象が起こってしまうのですが、その中で父と子の愛情が育まれるというストーリーです。
原作もあるんですが、弊社代表の竹本勝紀が脚本に大きく手を加えているのでほとんど違った内容ですね。
中将:柏木さん的に見どころはどんなところでしょうか?
柏木:やはり鉄道会社が制作していますので普通の映画ではなかなか再現できない鉄道シーンが多彩にあると思います。またそれ以外にもホラーの要素があったり、笑いあり涙ありでみなさんが楽しんでいただける娯楽作品になっていると思います。
中将:8月28日に封切されたということですが、これまでの興行成績はいかがでしょうか?
柏木:大きな配給会社がついているわけではないですし、コロナの影響もありなかなか思うようにはいきませんが、まだまだ始まったばかりなので頑張って広めていきたいと思っています。上映会場になっていただけるお店、劇場も引き続き募集しております。
映画「電車を止めるな!」 https://www.dentome.net/
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「電車を止めるな!」の上映会場の一つ「Cafe & Live Space 露依楼囲-Roy Roy-」(兵庫県川西市)のオーナー、菜つ美さんにもお話をうかがった。菜つ美さんは鉄道会社のイメージソングなどを手がけ人気の音楽グループ「半熟BLOOD」のメンバーでもある。
中将:銚子市とは遠く離れた露依楼囲さんで「電車を止めるな!」を上映することになったきっかけを教えてください。
菜つ美:鉄道アーティストの小倉沙耶さんから「関西で上映できる会場を探してるそうだけど」とご紹介いただいたんです。私もこの映画には興味があったのでお問合せしたところ会場に選んでいただけました。
中将:もう2回上映されているということですが反響はいかがでしたか?
菜つ美:関西ではまだ上映会場が少ないこともあって、西日本各地からお客さまに来ていただいています。
はじめは11月の2本だけの予定だったんですが、12月も追加で2本決まりました。
中将:映画をご覧になった感想はいかがでしたか?
菜つ美:はじめは何かのパロディーでおちゃらけた作品かと思っていたんですが、実際に観たら全然違っていて、しっかりとストーリーを楽しめました。お客さまの中には観ながら泣いている方もいましたね。
「Cafe & Live Space 露依楼囲-Roy Roy-」
所在地:兵庫県川西市中央町3-3 川西中央ビル2EF号室
「電車を止めるな!」上映予定日:11月15日、11月21日、12月13日、12月20日
公式サイト:https://www.hanzyukublood.info/blank-20
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銚子電気鉄道の存続を賭け、2億円の変電所修繕費用を調達すべく制作された映画「電車を止めるな!」。柏木常務や菜つ美さんだけでなく、映画をご覧になった一般の方たちからも「もう一度…と言わず、何度か観たい。」「不安から始まり徐々に引き込まれて涙腺が緩みました。」「超C級映画としては上出来」など感動のコメントが多数上がっているのでそのクオリティーは間違いないと思われる。ご興味ある方にはぜひ映画公式サイトから身近な上映会場を探し、ご覧になっていただきたい作品だ。