愛知県警岡崎署の巡査部長が知人にあらかじめ覚醒剤を渡した上で検挙し、事件を捏造していたとして書類送検され、懲戒免職処分となったことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は23日、当サイトの取材に対し、「覚醒剤摘発のでっち上げ」事件について解説した。
愛知県警によると、巡査部長は交番勤務だった今年2月、30代と40代の知人男性に覚醒剤が付着したビニール袋を準備させ、岡崎市内で職務質問を受けるように依頼。自ら職務質問し、覚醒剤取締法違反の疑いで検挙したとするウソの報告書を作成した疑い。また、8月には自宅に覚醒剤の付いたビニール袋を所持した疑い。
巡査部長は16日付で懲戒免職処分となり、覚醒剤取締法違反などの疑いで名古屋地検に書類送検された。調べに対し巡査部長は容疑を否認しているが、検挙実績を上げて希望していた刑事課に異動するための犯行だったのではないかとみて詳しく調べている。
小川氏は「この巡査部長は昨年3月に岡崎署に異動で来たが、それまでは蒲郡署で刑事課に所属し、暴力団や薬物、銃器関連の捜査を担当していました。その経験から覚醒剤が極めて微量であれば、起訴されないことを知っていたと考えられます」と解説した。
さらに、同氏は「摘発されても、微量であれば処罰の対象にはならないことを見越して知人に『やらせ』を依頼し、逮捕や起訴はされなくても、それでも摘発した警察官の実績にはなるので、自身の成績を上げようとしたことが考えられる」と推測した。
実際、今回の「架空摘発」で巡査部長は署長表彰も受けていたという。だが、今年3月にパトカーで起こした物損事故を申告していなかったことが発覚し、その業務内容を調査する中で覚醒剤の摘発が虚偽だったことが判明したという。
小川氏は「この警察官が刑事課に戻りたいから、事件をでっち上げたか否かは分からないが、自分の成績を上げるために知人を使い、でっち上げたことは明らか。また自宅にも覚醒剤が付着したものを所持していたことから、またやるつもりだったと思われる」と指摘した。